おまめのフジッコ「カスピ海ヨーグルト」の成長が止まらない理由ねばり勝ち(2/4 ページ)

» 2019年02月04日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 フジッコがヨーグルト事業を始めたきっかけは、武庫川女子大学国際健康開発研究所長の家森幸男氏だ。食と長寿について研究している家森氏がジョージア(旧グルジア)から持ち帰ったのが、現地で食べられているヨーグルト菌。ただ、菌を扱うのは難しいことから、フジッコに「菌の培養と発送を手伝ってほしい」と頼んだ。同社は漬物やナタデココの製造によって、発酵食品を扱う技術を持っていたからだ。

 このことをきっかけにして、02年にカスピ海ヨーグルトの種菌、05年に量販店向けのカップ入りヨーグルトの販売を開始。同時に、特長である「粘り」成分の機能を知ってもらうため、全国でセミナー開催を始めた。セミナーはこれまでに40回以上開催。中高年層を中心に、口コミでリピーターを増やしていったのだ。

持ちやすく使いやすい「容器」を追求

 紀井さんは14年からの4年間、カスピ海ヨーグルトのブランドマネージャーを務めた。すでに土台はできていたが、そこからさらに成長させることが課題だった。「大手と価格競争をするのではなく、良さを理解して買ってもらう」ためのマーケティング戦略によって、伸びを加速させたのだ。

 その取り組みの中でも力を入れたのが、18年春に実施した「容器」のリニューアル。開発には約1年半をかけた。販売休止の危機を乗り越えたころ、ブランドコンセプトを見直すことが次の課題だと考え、着手した。

photo リニューアル前の容器(左)と、新たに開発した容器

 丸い紙容器だった従来のパッケージから、大きく手を加えたのが「形状」だ。容量が多いヨーグルトの容器は、持ち運びやすいとはいえない。だが、形状を工夫することで、安全に簡単に持ち運べる容器になるのではないかと考えたのだ。

 まずは「消費者がどのように容器を持っているか」を知ることから始めた。さまざまなメーカーのヨーグルトを冷蔵庫に入れて、「消費者の方々に協力してもらい、『ヨーグルトを使った料理を作ってほしい』と頼みました」。見ていたのは、容器の取り出し方だ。「年配の方や女性は、ふたを抑えて両手で取り出していて、持ちにくそう」だったという。高齢の女性でも持ちやすく、使いやすい形状にすることが必要だった。

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