おまめのフジッコ「カスピ海ヨーグルト」の成長が止まらない理由ねばり勝ち(3/4 ページ)

» 2019年02月04日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 持ちやすく感じるためには、手にフィットしていればいいのではないか。その発想から行き着いた考えが、「くぼみを付ける」こと。女性の手のサイズの平均を調べ、カップを持ったときに指先が当たる2カ所にくぼみを入れた。そうすることで、女性の手でも軽い力でしっかりとつかむことができるようになる。さらに、ぴったりとふたを閉じられるように、開け口の形状なども調整した。

 だが、複雑な形をしていると、ヨーグルトをかき出すときにスプーンが引っ掛かってきれいに取り出せない。中の形状はできるだけ丸に近づけるように、ぎりぎりまで調整したという。

photo 容器を持ちやすいように、くぼみがある形状に変えた

 パッケージデザインも一新した。従来は「北海道生乳100%」と言葉が目立つように大きく書かれていた。それが、他の商品と差別化できる要素の一つだからだ。しかし、あらためて「商品の何がお客さまの心に響いているか」を調べると、「そこまで大きな要素ではなかった」。それよりも「粘り」だ。最大の特長であるのに、それがパッケージでほとんど表現されていなかった。もっと前面に押し出すために「ねばりのチカラ」というフレーズを入れ、強い粘りが視覚的に分かるデザインを取り入れた。

「ねばり戦略」を打ち出す

 パッケージに象徴されるように、「粘り」を商品価値として大きく打ち出すことも新たに始めた。従来は、「酸味が少なくて食べやすいとか、ジョージアの長寿の秘密とか、さまざまな要素を打ち出していた」。「粘り」にフォーカスすることで、ブランドイメージを定着させようと考えたのだ。

 社内では、「打ち出すべきなのは『おいしさ』やないんか?」と言われることもあった。しかし、それは他のヨーグルトにもある要素。粘りこそが他との差別化だと訴え続けた。

 粘りに対するイメージも活用できると考えた。「日本人は納豆など、粘る食材に健康的なイメージがありますし、粘り強さという精神性も好んでいます」。キャンペーンでは、粘り強さが必要になる「受験」「スポーツ」の応援を打ち出した。3年前からは、受験生の応援として「だるま」などをあしらった期間限定パッケージも販売。「まずは情緒的に価値を伝えていくことで、親しんでもらいたい」

 それに加えて、店頭での食べ方提案として「ゆずはちみつソース」や「ドライフルーツミックス」などを添付するキャンペーンなども実施した。「大手がやらないことをやる。得意なところを見つけて、それに特化することで差をつける」ということを大事にしている。

photo 受験応援パッケージを展開したり、おまけを付けたりしている

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