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» 2019年03月04日 06時30分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:自動車メーカー各社の中国戦略 (1/6)

いまや世界で1年間に販売される新車の3分の1近くが中国での販売となっている。魅力的なマーケットである一方で、中国というカントリーリスクも潜んでいる。今回は日本の自動車メーカーが中国にどんな対応を取るか、その戦略差を比べてみたい。

[池田直渡,ITmedia]

 現在、世界中で年間に販売される新車はおおむね1億台。そのうち中国での販売が4分の1を超えて、3分の1に達しようとしている。

 世界最大のマーケットを前にして、自動車メーカーにとって中国で売らないという選択はそう簡単にはできない。中国で売るのは当然として、むしろそこでの戦略をどうするかが競争上の大きな分かれ目になってくる。状況は刻一刻と変わるので、この先がどうなるかはまだ分からないが、少なくとも現在、中国は自動車の輸入を原則的には認めていない。

急拡大する中国マーケットに対し、日本の自動車メーカー各社がとる戦略とは? 急拡大する中国マーケットに対し、日本の自動車メーカー各社がとる戦略とは?

 では、自動車鎖国中の国でクルマを売るにはどうするかと言えば、それはもう現地で生産する以外に方法はない。1つの工場で生産するクルマは、工場によるとはいえ、25万台程度が標準的だ。中国で売るということは中国で作るということだ。もっと売りたければもっと工場を作るしかない。そして中国で作ろうと思うと、現地資本の企業に少なくとも半分は出資してもらわなくてはならないルールになっている。

 元々、中国政府の狙いは技術の習得だった。どうやってクルマを作るかをマスターしたい。口の悪い人はそれを技術剽窃(ひょうせつ)だと言う。まあ言い方の問題でいずれにしても技術の習得が目的だったのは間違いない。

 しかしながら、実際に政策を進めていくと、技術を習得する必要はさしてないことが分かってきた。海外のメーカーを誘致してクルマを作らせれば、雇用が生まれ、消費が伸び、企業がもうかれば半分は中国資本のものになる。税収だって製造・販売・利用のあらゆる段階に、しかもトリクルダウン的にさまざまな階層から得られる。将来海外メーカーが中国工場で作った製品を輸出でもしてくれるようになれば、これもまた半分は中国企業のものだ。つべこべ厳しいルールを課して、進出に二の足を踏ませるよりも、ハードルを下げて、海外からやってきた企業が勝手に中国を潤してくれた方が都合が良い。今、中国はそういう方向に舵を切ろうとしている。

 しかしである。中国に限った話ではないが、グローバルビジネスにはカントリーリスクがある。今ホットな例で言えば、英国のEU離脱問題もそう。フランスのデモもそう。日本だって地震災害のリスクが高い。問題はどこにでも必ずあるそのリスクの性質がどう違い、そのリスクの高さがどの程度なのかだ。そしてそれを回避する方法があるのかどうか問題なのだ。

 今回は中国のカントリーリスクに対して、どんな対応を取るか、その戦略差をいくつかのメーカーを比べながら書いてみたい。

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