2年前の新大久保では、鶏肉を野菜と甘辛く炒めた「チーズタッカルビ」という料理が大流行していた。一時期寂れていたコリアン街が活気を取り戻し、どの店もこの料理を売っているような状況だった。チーズタッカルビはコリアン街の「市場タッカルビ」という店が元祖で、辛い韓国料理が苦手な人でも「チーズを入れればマイルドになって食べやすい」と評判になった。外食業界では、若い女性向けの料理にチーズを入れるのは半ば常識で、味のバランスは考えなければならないが、極端に言うとチーズさえ入れておけばヒットメニューになるほどだ。
韓国料理とチーズの意外な相性の良さが、チーズタッカルビによって発見された。
ちょうど、韓国・日本・台湾のインターナショナルなメンバーで構成されたK-POPアイドルグループ「TWICE(トゥワイス)」の人気も浮上していた。10〜20代の女性ブロガーやユーチューバーが、韓国風美少女メイクの「オルチャンメイク」を発信して人気になるケースも出てきた。
そうした背景もあって、新大久保のコリアン街が空前のにぎわいを見せるようになった。
ドラマ「冬のソナタ」が流行して、ヨン様ブームに沸いていた頃は中高年の女性が殺到していたが、今は顧客層が極端に若くなっている。その中に、若いカップル、男女のグループ、男性グループ、外国人観光客、家族連れ、その昔韓流ブームに夢中になっていた中高年女性が混在している。
市場タッカルビで提供しているチーズタッカルビは、鉄板で焼いたモッツアレラチーズとチェダーチーズの2種類のチーズが伸びるビジュアルもポイントで、当初からインスタ映えを狙って設計された料理であった。
新大久保を訪れる若い女性たち、韓国料理とチーズの組み合わせの妙とインスタ映え、モッツアレラチーズとチェダーチーズ。ありらんが繁盛した背景にはこうしたものがあった。
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