コンビニの24時間営業の是非が取り沙汰される中、ローソンの竹増貞信社長が3月7日、ITmedia ビジネスオンラインの単独インタビューに応じた。竹増社長は、24時間営業の見直しについて「社会の変化に伴い、(24時間営業の)ニーズがないのであれば、われわれは変化に対応していかなければならない」と説明し、24時間営業の見直しもあり得るとの見方を示した(ローソンが「24時間営業の見直し」を検討する理由で詳報)。
ローソンでは現在も少数の店舗で時短営業を実施しているが、原則的には24時間営業の方針を取っている。竹増社長は「誰も求めていないのに24時間を続けることはあり得ない」とも発言。「24時間営業を続けることが(ローソンが目指す)“マチの幸せ”につながらないのであれば、変化に対して合わせていかなければいけない」と言及した。また、「マチの幸せにはオーナーも含まれる」「オーナーのやりがいがコンビニの土台」とも述べ、人手不足が深刻さを増す中、コンビニの働き方改革を急ぐ考えを示した。
竹増社長はコンビニだけでなく、小規模小売業における働き方改革の現状と課題について踏み込んで語った。果たしてコンビニという業態は持続可能なのだろうか――。竹増社長のインタビューからその未来を考えたい。
――ローソンは外国人労働者の採用や育成と、店舗におけるデジタルを活用した生産性向上に力を入れています。まず外国人の採用や育成の現状について聞かせてください。
人手不足は年々逼迫(ひっぱく)度が高まっています。ローソンでも、今まで通りのやり方では、店舗のオペレーションにとって十分な数のクルーには集まってもらえていない状況です。
人手不足に対応するポイントは3つあります。1つ目は、本部も一体となってクルーを大事にし、福利厚生を含めて「長く働きたいな」と思えるローソンであり続けることです。2つ目は店内のオペレーションを、デジタルを使って効率化していくことです。昨年、全店に入れた自動釣り銭機能付きのPOSレジもその一環ですね。店内の作業の負荷を、できるだけ軽くしていきたいと考えています。
3つ目は、作業負荷を減らすことによって、外国人やシニアのクルーを迎えていく点です。今までは「コンビニって、日本人の若い人が働く場だよね」というアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)がありました。日本語も読めなくちゃいけないし、接客もあるしと……そういった見えないハードルを下げていきたいと考えているのです。
――外国人クルーからはどんな評価を得ていますか?
外国人クルーに集まってもらって「どうしたらもっと働きやすいか」を聞いたことがあります。すると、彼らから「コンビニで働きたいと思う外国人留学生は意識が高い」と言われました。接客で日本語を使わないといけないので、日本語の習得も早いのです。コンビニで1年働いていると、正月からひな祭り、花見、卒業と入学、ゴールデンウィーク、お中元、月見、クリスマス、年末と、日本の文化風習も体得できます。そのようなことを留学生の方々が互いに話していると聞きました。
ある外国人クルーから「だから竹増さん、(コンビニで働く外国人が最初はうまく言葉を話せなくても)1カ月間だけは笑顔で接してほしい」と言われました。最初は周囲に怒られたり注意されたりしても、なぜ自分が悪いのかがよく分からないのです。でも1カ月間は、失敗したときも「次は頑張ろう」と笑顔で接してもらえると、自分も頑張れるし、(留学生の)仲間にも「うちの店いいよ」と勧められるというのです。
そうした話をオーナーにしていくと、口コミでいいクルーが集まります。東京圏だけの話ではありません。例えば香川県では、日本語学校で学ぶネパール人がたくさん(ローソンのクルーとして)来てくれています。ただ、彼らは週に28時間しか働けないので手分けすることによって、ネパール人留学生が一店舗をほぼ丸々回しているのです。
現状は、全国約19万5000人のクルーのうち外国人は1万2000人ほどなので6%程度です。一方、東京23区ではすでに外国人クルーの割合が4割ほどになっています。
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