コンビニの24時間営業の是非が取り沙汰される中、ローソンの竹増貞信社長が3月7日、ITmedia ビジネスオンラインの単独インタビューに応じた。竹増社長は、24時間営業の見直しについて「社会の変化にともない、(24時間営業の)ニーズがないのであれば、われわれは変化に対応していかなければならない」と説明した。場合によっては一部の店舗において24時間営業の変更もあり得るとの見方を示した。
ローソンでは現在も少数の店舗で時短営業を実施しているが、原則的には24時間営業の方針を取っている。竹増社長は「誰も求めていないのに24時間を続けることはあり得ない」とも発言。「24時間営業を続けることが(ローソンが目指す)“マチの幸せ”につながらないのであれば、変化に対して合わせていかなければいけない」と言及した。
「オーナーのやりがいがコンビニの土台」とも述べ、人手不足が深刻さを増す中、コンビニの働き方改革を急ぐ考えを示した。
――セブン-イレブン・ジャパンが一部の店舗で夜間休業の実験を始める方針を表明した。深刻な人手不足などの影響でコンビニの24時間営業を危ぶむ声も出ているが、現状をどう考えているか。
竹増: コンビニはもともと24時間営業ではなかったが、社会の変化、暮らしの変化に対応して24時間になった。防犯にも役立ち、大災害の際には「24時間やってくれてありがとう」という声が広がった。
――災害といえば、2018年の福井豪雪の際、セブン-イレブンのオーナーが店を閉められず48時間寝ずに働いて問題になった。
竹増: 私たちの大原則は安全第一だ。まず安全を確保し、次に店を開ける。北海道地震でブラックアウト(全域の停電)になった際には、「まず安全を確保し、可能な店は日が昇っている時間だけ店を開けて」とお願いした。あとは現場判断だ。
福井豪雪では現場を車で回ったが、「常連さんから開けてくれてありがとうと言われるから、閉められないんだ」という声を聞き、他県から応援に駆け付けたオーナーさんにも会った。そういうオーナーさんたちをリスペクトするし感動もするが、本部の役割は安全の徹底で、必要なら店を閉めている。また、多店舗経営を推奨するなど、いざという時にも仕組みで補えるようにしたい。
――ローソンは「マチの幸せ」への貢献を掲げるが、「マチ」にはオーナーや家族も含まれるのか。
竹増: その通りだ。オーナーさんは最も大事なパートナーで、丁寧に真摯に向き合い続けていくことが倫理的にもビジネス的にも大切だ。加盟店さんのやりがい、店の利益がコンビニの土台になるので、オーナーの「働きがい改革」を進めていく。
――「夜は閉めたい」というオーナーに対してはどう対処するのか。
竹増: 実は、そのための契約パッケージも用意してある。ただ、夜間に店を6時間閉じるとしても、店じまいに1時間半掛かり、店を開けるのにまた1時間半くらい掛かるので、休めるのは実質3時間しかない。店が1階で、オーナーが2階に住んでいるような場合ならいいが、(遠くから店に)通っているような場合だと、どれくらい効果があるのか。オーナーさんによっても意見が分かれるので、個別に対応していく。(現在)24時間営業ではない店舗は、1万4500店中40店ほどだ。
――今後は、24時間営業の見直しも検討していくのか。
竹増: 24時間問題は、社会の変化にどう合わせていくかという問題だ。ローソンはこれまでも、これからも、いかなる変化もいとわない。24時間営業をすることが「マチの幸せ」につながらないのであれば、変化に対して合わせていかなければいけない。今はまだ、「全店で非24時間化」という結論を出すには至っていないが。
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