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「セブン24時間見直し」の衝撃――ローソン竹増社長に問う“コンビニの持続可能性”「店舗の平準化」は時代遅れ(2/3 ページ)

» 2019年03月15日 07時15分 公開
[北健一ITmedia]

「小売業とは何ぞや」を実地で学べる

――人手不足に対応するために、4月から施行される改正入管法では、技能実習資格で3年間以上の実習を経験した人に新たな在留資格である「特定技能1号」を与え、最長5年間の滞在を認めるよう改正されます。人手不足が深刻な介護、農業、建設、宿泊業など14業種が「特定技能1号資格」に入りましたが、コンビニは入りませんでしたね。

 確かに改正入管法の(特定技能1号の)対象業種には入っていません。ローソンで働いた留学生は「コンビニってすごい」と言ってくれます。信頼されてくると発注も任され、店の数字を管理するようになって、「小売業とは何ぞや」を実地で学べるからです。ただ、語学学校は2年間なので、そこでビザが切れます。そのままアルバイトをしていた店に就職したいと思っても、なかなかビザは下りないため、後ろ髪を引かれるように帰国しているのが実態です。

 東南アジアには、海外資本の大規模なモールが進出している一方、小規模なパパママストア(夫婦などで経営している小規模の小売店)は近代化していません。日本のコンビニで働いた経験を生かし自国に帰って経営にチャレンジしてみたいという人は多いので、本当の意味で小規模小売業の発展に役立つのではないかと考えています。いろいろな国でマーケットリサーチをしていますが、日本のローソンで働いてベトナムに帰国した元留学生から「(ベトナムに)ローソンを進出させてほしい」と言われたこともあります。

 中国から日本に留学してローソン本社に就職し、ローソン社員として本国に渡り、中国2000店舗を引っ張っている人材もいます。本社に勤めると技能習得ビザが下りますが、加盟店では下りません。「外国人留学生をどんどん入れて人手不足を埋めたい」という発想ではなく、どちらかというと社員として外国人を迎えて、「日本のコンビニで学んで自国の小売業に寄与したい」という人の需要に応えていきたいと考えています。

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技能習得のビザの対象になっていきたい

――確かに他業種の技能実習生の課題としては、日本で学んでも母国に帰った際に生かされない場合があると聞いていますが、そのようなパターンが確立すれば解決されますね。外国人を受け入れる際の研修の体制はどのようになっているのでしょうか。

 オリエンテーションではビデオを見てもらい、オペレーションのイロハを書いた数カ国後で書かれたハンドブックを読んでもらっています。あとはOJTですね。それにみなさん、コンビニの仕事について留学生仲間から話をよく聞いています。

――ベトナムや韓国にも研修施設を作られています。そういった研修施設は拡充していくのでしょうか。

 ベトナムや韓国とわれわれ、双方のニーズを考えながら検討していきたいと思います。日本に行ってチャレンジしたいというベトナムや韓国の方のニーズがどれくらい大きくなるか。日本で受け入れるキャパシティーはどのくらいか、というバランスですね。

――今の外国人受け入れの課題はどんなところにあるのでしょうか。

 今まではトライアンドエラーで進んできました。クルーの活用については、加盟店も受け入れの準備はできていますし、「来てくれるんだったらどうぞどうぞ」という感じです。ただ、やはり(法制度の改正に関わるが)技能習得のビザの対象にもなっていきたい。ここが課題ですね。

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