2019年3月23日、三陸鉄道リアス線が全線開通した。東日本大震災で被災、不通となったJR東日本の山田線沿岸区間を復旧し、三陸鉄道に移管した。事業会社変更という奇抜な解決策だったけれど、私は7年前の12年にこの枠組みを予想していた。「どうしても鉄道で」というなら、それしか解決方法が見つからなかったからだ。
当連載の前身、「時事日想」で「JR東日本は三陸から“名誉ある撤退”を」というコラムを書いた。12年2月24日。東日本大震災から約11カ月半後だ。
この予測は山田線沿岸区間については概ね当たった。
→ハズレ。大船渡線沿岸区間はBRT(バス高速輸送システム)で本復旧が確定。山田線もJR東日本が復旧させた。
→半分アタリ。JR東日本は気仙沼線と大船渡線をBRT化して事業継続。山田線からは撤退。
→ハズレ。JR貨物はこの区間の復旧に関与しなかった。
→アタリ。三陸鉄道が山田線を引き受けた。
→半分アタリ。山田線沿岸区間のみ三陸鉄道に譲渡した。
JR東日本が手を引くべきと考えた理由は、そのほうがJR東日本にとっても地域にとっても良いと考えたからだ。JR東日本は民間会社であり、「赤字路線に莫大な費用を投じて、さらに今後も赤字を継続する」という考えはない。
経営効率を考えるなら「気仙沼線と大船渡線も路線を廃止し、旅客輸送から撤退」という考えもあった。そうしなかった理由は、運輸業の社会的責任を果たすためだ。これが大都市近郊であれば、周辺地域開発の利権を維持するためという見方もできるけれど、失礼ながらこの地域には魅力的な利権はない。だから気仙沼線と大船渡線はコストの安いBRT化を選択した。
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