1月24日、NHKが「JR北海道で東京急行電鉄(東急電鉄)の豪華観光列車を運行へ」と報じた。JRの路線を大手私鉄の豪華観光列車が走る“異例”の取り組みだという。細かいことを言えば、東急電鉄が企画営業する豪華観光列車「THE ROYAL EXPRESS(ザ・ロイヤルエクスプレス)」は、横浜〜伊豆急下田間のうち、横浜〜熱海〜伊東間はJR東日本の路線を走っている。枠組みとしては日本初ではなく、東急電鉄とJR東日本のような協業がJR北海道で始まる。
続報として、25日に共同通信が「THE ROYAL EXPRESS」の車両を走らせると報じ、一方、北海道新聞は「JR東日本と東急電鉄が首都圏などで展開してきた観光列車のノウハウを生かし、新たに製造する豪華車両の運行を検討」と報じた。非電化区間が多いJR北海道まで電車を搬入して走らせるとは考えにくい。しかし、いきなり新造車両となればコストが大きい。線路の存続も危うい状況で億単位の投資はばくちに近い。
試験的に「THE ROYAL EXPRESS」で運行し、良い見通しが立てば将来は新造、という算段かもしれない。これはJR北海道、または東急電鉄の正式発表を待ちたい。
注目すべきは、JR北海道が運行管理を担い、東急電鉄が営業を行うという手法だ。いわば観光列車の上下分離で、これも前例がある。道南いさりび鉄道の観光列車「ながまれ海峡号」だ。
道南いさりび鉄道は北海道新幹線の並行在来線を継承した第三セクターで、人口が少なく赤字は必至。誘客のために観光列車を走らせたいけれども、ノウハウがない。そこで大手旅行代理店の日本旅行が企画から車内サービス、販売までを一貫して担当する。道南いさりび鉄道としては列車をダイヤ通りに運行する部分を担う。日本旅行としては、観光バス貸切ツアーと同様のノウハウで観光列車貸切ツアーを実施する。
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