自律と他律を超えていく「合律的」働き方他律は悪か(1/3 ページ)

» 2019年04月08日 07時00分 公開
[村山昇INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:村山昇(むらやま・のぼる)

キャリア・ポートレート コンサルティング代表。企業・団体の従業員・職員を対象に「プロフェッショナルシップ研修」(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)を行なう。「キャリアの自画像(ポートレート)」を描くマネジメントツールや「レゴブロック」を用いたゲーム研修、就労観の傾向性診断「キャリアMQ」をコア商品とする。プロ論・キャリア論を教えるのではなく、「働くこと・仕事の本質」を理解させ、腹底にジーンと効くプログラムを志向している。


 自律(正)×他律(反)→合律(合)の進化は、観点を変えれば、ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂)のダイナミズムといってもいいでしょう。あなたが所属する事業組織には、個と組織の「合律的」ダイナミズムが健全に起こっているでしょうか。

自律は善で他律は悪か

 自律・他律といったときの律は、「ある価値観や信条にもとづく規範やルール」のこと。さまざまな事柄を判断し、行動する基準となるものをいいます。したがって───

[自律的]

=自分自身で律を設け、それによって判断・行動する

(そこには、意志的・能動的な態度がみられる)

[他律的]

=他者が設けた律によって、判断・行動する

(そこには、追従的・受動的な態度がみられる)

 とまとめられるでしょうか。このことから一般的に、自律的な働き方はよいことで、他律的な働き方は悪いことだと思われがちです。しかし、そう単純に決めてかかってよいでしょうか。私は研修で、次のような表を出し、受講者に考えてもらっています。

 この4象限の空欄にどんなことが当てはまるか。だれしも「自律的×望ましい点」と「他律的×望ましくない点」はすぐに思い浮かべることができます。しかし、じっくり考えると、「自律的×望ましくない点」や「他律的×望ましい点」についてもいくつか出てくるでしょう。

 例えば、自律が過剰にはたらくと、自己中心的な暴走や逸脱を生みます。自律的働き方がいつしか「俺様流」の独善・強要に変わるわけです。自律意識過剰の人ほど、プライドが高く、強引な判断でトラブルを抱えたり、組織・上司の意向が自分のものと異なると「こんな会社やってられるか」とすぐに切れてしまったり、そんなケースはよくあります。

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