また、他律的な働き方は、ときに効率的でミスの少ないものです。もしその組織が、過去から営々と築き上げてきたノウハウを持っている場合は、下手に個人が独断で動くより、組織の持つ暗黙知・形式知に従って(=他律的に)淡々と仕事をやるほうがいい場合もあります。ただ、それに安住してしまうと、他律的の望ましくない面がじわり出てくるわけですが。
いずれにしても、ここで押さえたいことは、自分の律も他者の律も完璧ではないことです。そしてさらに重要なのは、両者の律を「合して」つねに「よりよい律」を生み出していくことです。
さて、両者の律を合するとはどういうことでしょう。
ある仕事をやろうとするとき、組織や上司はこう考え、こう行なうようにと命令してくる(=他律的な)意志と、それに対し、「いや、自分はこう思うので、こうしたい」とする(=自律的な)意志が生じます。
そこで自分と上司なり組織なりが討議をして、双方が納得する答えをつくり出そうと努めます。そして何か新しい知恵を含んだアイデアが生じたとします。この自分と他者の間に生み出された第三の答えは、自律も含み、他律も含み、一段進化したものです。
その第三の答えは、双方の律を“合した”という意味で、「合律(ごうりつ)」的と呼んでいいかもしれません。自律的な「正」の考えに対し、他律的な「反」の考えがあって、その2つを高い次元で止揚する「合」が生まれたということです。
ただし、「正」と「反」がぶつかりあっても、妥協で済ませる場合は「合」ではありません。「合」とは次元が上がって生み出された新しい何かです。
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング