トヨタ ハイブリッド特許公開の真実池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/5 ページ)

» 2019年04月15日 06時30分 公開
[池田直渡ITmedia]

 4月3日。トヨタ自動車はプリウスなどで長年培ってきたハイブリッド(HV)技術の特許(2万3740件)を無償で提供することを発表した。

トヨタ・プリウスPHVの全システム。オプションのソーラー充電ルーフ付。THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)はハイブリッドでもプラグインハイブリッドでも原則的に共通だ

 実はトヨタはこれに先立ち2015年1月に、燃料電池車(FCV)の特許1970件と水素タンクの特許(290件)を公開し、17年9月にはマツダ、デンソーとともに設立したEV C.A. Spiritを通じて、EV(電気自動車)の標準規格を策定。他の自動車メーカーやサプライヤーも参画が可能な枠組みづくりをスタートしている。

 つまりこれで、HV、FCV、EVというこれからの環境戦略の軸となる全てのジャンルについて、何らかの形で技術供与を行うということになる。

 さて、これを聞いて、普通に考えるとふに落ちない点は多分3つある。まずは「トヨタはいったい何のために競争領域の技術をオープンにするのか?」。そして「どうやって実現していくのか?」。さらには「なぜそんな大事な技術を公開することが可能なのか?」ということだろう。

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