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» 2019年04月15日 06時30分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:トヨタ ハイブリッド特許公開の真実 (3/5)

[池田直渡,ITmedia]

欧州委員会の調査でトップを取ったトヨタ

 さて、前出の寺師副社長の言葉を借りよう。「去年、欧州委員会がオフィシャルに公表した2017年の自動車メーカー各社のCO2排出量の実績値を見ると、トヨタが一番(CO2排出量が)少なくトップなんです。(中略)他社は現在の規制を示す線ギリギリです。しかも今後この規制がどんどん厳しくなっていきます。(中略)これが何を示しているか。結構思い切って言っちゃうと、EVを持っている会社の達成率はいいわけではないってことですよね」

 つまり現状で1台もEVを売っていないトヨタが、欧州委員会の環境評価No1.を獲得しており、いうまでもなくその原動力はHVなのだ。

欧州のCO2規制への対応状況(トヨタ発表資料より)

 しかし、温暖化ガス規制は今後どんどん強化される。トヨタ自身の読みでは、やがてHVでは規制がクリアできなくなる。そこに到達するのは30年だ。そこから40年まではプラグイン・ハイブリッド(PHV)が主流になる。

 PHVは簡単にいえばバッテリー容量を増やしたHVだ。さらにバッテリーにはEV同様コンセントから充電が可能だ。例えば1週間の中で、平日は30キロメートル以下の通勤距離だとすれば、家庭で充電したバッテリーの電力だけで走行できてしまう。休日に遠出する時だけは、バッテリーを使い切ってからエンジンを使ってHVとして走る。するともうこれは現実的にはほぼEVだといえる。

 今後バッテリーが進化して、安価で軽量かつエネルギー容量が上がれば、EVの時代は必ずやってくる。長期で見ればそれは確実だ。だが今すぐは無理だ。ユーザーが買ってくれないのではどうしようもない。しかし、だからといってそれまで環境問題を放置できない以上、顧客に支持されているHVと、あと少しでそこへ持っていけそうなPHVでこの20年間を乗り切るしかない。それが現実的回答だ。

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