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» 2019年04月23日 08時33分 公開

スピン経済の歩き方:なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日 (3/7)

[窪田順生,ITmedia]

「不具合」の可能性

 こういうネガイメージに拍車をかけているのが、一部から指摘される「不具合」の可能性だ。例えば、先ほどの福岡の暴走で、過失運転致傷罪に問われた運転手の裁判で、弁護側は事故後に車の検証に関わったトヨタ社員を証人尋問している。

 『弁護側は、「プリウスのブレーキを踏んだのに進んだ」という不具合情報が国土交通省に報告されていることについて尋ねたが、男性社員は「(現象として)あり得ない」との見解を示した』(朝日新聞・福岡版 2018年10月5日)

 要するに、「暴走=踏み間違い」ということになっているが、実はその中には車両の不具合も含まれているのではないかというのだ。確かに、国土交通省の「自動車のリコール・不具合情報」で「プリウス」「ブレーキ装置」で検索をすると、「ブレーキが効かなくなった」などの申告が298件もあり、競合車と比べると多いのだ。

 ただ、不具合の「申告」がかなり多いからといって即座にプリウスに問題アリという話にはならない。プリウスの数がかなり多いからだ。

 ご存じのように、プリウスは17年1月時点で累計400万台売れた超人気車種で、日本全国のいたるところを走り回っている。絶対数が多いので不具合の報告も多くなるのは当然だ。また、ちまたに溢れて、なおかつ印象に残りやすいメジャー車となれば、他車種よりも「事故」の印象も人々に脳裏にこびりつく。事故画像がたくさん撮られて拡散されているのも、数の多さがゆえなのだ。

 この構造は、マクドナルドの異物混入とよく似ている。異物混入など日本全国の飲食店で日常的に起きている。にもかかわらず、全国チェーンの店舗の多さと、そのビックネームがゆえ、「異物混入」というネガイメージが他店よりも強くこびりつく。結果、他の店なら店長が出てきて「ごめんなさい」で終わる話が、マスコミ記者から散々説教され、社長まで引っ張り出される「消費者の信頼を裏切る企業不祥事」となってしまったのだ。

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