「角ハイボール」は酒の世界を変えたのか恐るべし(1/4 ページ)

» 2019年05月01日 09時00分 公開
[猪口真INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:猪口真(いのぐち・まこと)

株式会社パトス代表取締役。


 最近、知り合いの飲食店(バー系)で立て続けに聞いた話がある。

「角ハイボールある?」

「いえ、当店にはおいておりませんが」

「えー! じゃ帰るわ」

「角ハイボールちょうだい」

「いえ、当店にはおいておりませんが」

「えー! 角ハイボールないの!? じゃ、生ちょうだい」

「ハイボールください」

「銘柄はいかがいたしましょうか?」

「え……」

 角ハイボール恐るべしである。

 完全にひとつのジャンルを築いた感があり、ジャンルというか、銘柄というか、メニューのひとしなというか、ひと言では片づけられないところまできた感すらある。

 さらに、国産シングルモルトの超品薄状態と投機対象なのかとも思える価格高騰。

 朝ドラ「マッサン」から始まり、角ハイボールのCM効果が重なり、コスパの良さも手伝って、もはやスタンダードともいえる「角ハイボール」状態だ。

 日本においてもバブル以来ようやくウイスキーの文化が再来したのかと思えるほどで、さぞや久しぶりに酒業界に明るい話題で盛り上がっていることだろうと思っていたのだが、実態はそうでもないようだ。酒量全体で見た市場の状態はかんばしくない。

 全体で見ると酒量の販売は減少している。ピークは平成8年で、平成28年はピーク時の約87%になっているという。

 87%でも、一人当たり10%以上飲む量が増えていればいいのだが、一人当たりの飲む量はピーク時の8割程度だと言われている。これではどうしても売上は減少する。

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