インタビュー
» 2019年05月10日 11時18分 公開

いかにしてトップに上り詰めたのか:シングルマザーだった私が“ニューヨークの朝食の女王”になるまで――「サラベス」創業者に聞く (1/4)

「ニューヨークの朝食の女王」と形容されるサラベス・レヴィーンさん(76)に独占取材。シングルマザーだった女性はいかにして米国で成功を収めたのか?

[武田信晃,ITmedia]

 「ニューヨークの朝食の女王」と形容されるサラベス・レヴィーンさん(76)が創業したレストラン「サラベス」。ニューヨークNo.1のデザートレストランと呼ばれ、フレンチトースト、リコッタパンケーキ、エッグベネディクト、フルーツスプレッドなどを楽しめる人気店だ。米国はもとより、台湾、韓国、UAEに店を構えるほか、日本では東京(丸の内、新宿、品川)、名古屋、大阪など計22店舗を構えており、おしゃれな空間で楽しめるこだわりの味は、世界中で大きな支持を集めている。

 そんなサラベスさんだが、私生活では離婚を経験していて、一時期は「シングルマザー」だった。創業当時は2人の子どもを育てていて、仕事と家庭の両立に奮闘しながら、1人の働く女性として幾多の困難を乗り越えてきた。シングルマザーだったサラベスさんは、いかにして米国を代表する女性経営者として成功することができたのか――。来日した折に、サラベスさん本人を直撃した。

photo サラベス・レヴィーン 1943年米国ニューヨーク市に生まれ。味に敏感なニューヨーカーを、常に満足させ続けるレストラン「サラベス」の創業者。81年ニューヨークのアッパーウェストサイドに「サラベス」を創業。家族に伝わるレシピで作るフルーツスプレッド(果物の甘味を生かした砂糖控えめのジャム)をはじめ、フレンチトースト、パンケーキ、エッグベネディクト、ワッフルなど伝統的なアメリカの朝食メニューの“ヘルシー&リッチ”な味わいから人気を博す。レストラン格付けガイド「Zagat」では、ニューヨークNo.1デザートレストランに選出。「New York Magazine」からは“NYの朝食の女王”と呼ばれ、多くのセレブリティも足を運ぶ。映画「恋するベーカリー」では主演のメリル・ストリープに調理指導したことでも知られる

家庭とキャリアの両立

 サラベスさんは、米国では知らない人がいないほどの“セレブシェフ”だ。筆者が北米に住んでいた約20年前、友人の家に行って冷蔵庫を開けると、そこには必ずサラベスブランドのフルーツスプレッド(果物の甘味を生かした砂糖控えめのジャム)があった……。それほどサラベスのスプレッドは一般に浸透していて、サラベスさんはポピュラーな存在なのだ。

 ただ、成功に至るまでの道のりは決して平たんではなかった。1943年、5人兄弟の2番目の子どもとしてニューヨークに生まれる。大学卒業後は、学校に教師として勤めたのちに結婚。娘を2人授かったものの、その後に離婚を経験した。シングルマザーとして水着のデザイナーや歯科助手の仕事などをしながら2人の子どもを育てた。確かに40年前の米国では日本より女性の社会進出が進んでいたとはいえ、シングルマザーとして仕事を続けることが大変だったであろうことは想像に難くない。

 ある時、フランス人と結婚していた叔母からマーマレードを食べさせてもらう機会があり、あまりのおいしさに感銘を受ける。そのマーマレードは長年に渡って家族の中に伝わってきたもので、そのレシピを引き継いで調理方法の研究を始めた……。これが1978年のことである。80年になると自宅のキッチンでオレンジアプリコットのマーマレードを作り、販売を始めると、これが爆発的な評判を呼んでいく。

 その頃に、後の夫で、サラベスの最高経営責任者(CEO)を務めることになるウィリアムさんと出会う。当時、ウィリアムさんは建築関係の仕事をしていたが、2人は81年に6席のイートインスペースだけの小さなベーカリー「Sarabeth’s Kitchen」をニューヨークのアムステルダム・アベニューに開店させた。もちろん、店を作ったのはウィリアムさんだ。

 「彼は私を信じてくれた。私の将来に『投資』をしてくれたのです」とサラベスさんは話す。ウィリアムさんになぜ店を作ったのかを尋ねると、「(彼女ほどに)仕事にやる気があって情熱的な人に会ったことはありませんでしたし、自分自身に対しても非常に厳しい人だったからです」(ウィリアムさん)。

photo サラベスの有名メニュー「クラシックエッグベネディクト」
photo レモンリコッタパンケーキ(WDI JAPAN提供)
photo フラッフィー(WDI JAPAN提供)
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