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» 2019年05月13日 11時52分 公開

各社異なる不正利用関連規約:キャッシュレス主役のクレカだがユーザー不利な規約も 求められる整備 (2/3)

[小林哲雄,ITmedia]

過去には、会員に過失があれば不正利用「全額」補償せずと明記していた規約も

 当時の規約がかなり厳しかった例として、楽天カードを見てみよう。現在は改善されているが、当時このような規約だったという例としてみてほしい。

楽天カード カード会員規約から抜粋

第17条(カードの紛失・盗難、偽造、再発行)

3.本条第1項但し書による支払免除の対象となる金額とは、会員が当社に対して連絡を行った日から30日(但し、当社に連絡することができないやむを得ない事情があることを会員が証明した場合には、30日にその事情が継続している期間を加えた日数とします。)前の日(その日が当該盗難が行われた前の日であるときは、当該盗難が行われた日)以降になされた他人によるカード利用に関するものとします。但し、当該カード利用がカードの紛失、盗難等を用いて不正に行われたことについて、当社が善意かつ無過失であり、かつ、会員に過失(重過失を除く)がある場合には、その支払免除金額は、当該カード利用に係る額の4分の3に相当する金額に限るものとします。

 クレジットカード取引は、仕組み上不正利用が避けられない。そこで不正利用時にしかるべき手続きをして「(調査の結果)カード会社が不正と認め、免責条件に該当しなければ支払い義務を免除する」という制度を用意している。

 クレジットカードは本来、明細請求書が届いて、利用者が内容を確認して請求内容に問題がないか確認をした上で支払う。このため、利用者に月ごとの明細請求書が届いてから不正利用を連絡をしても間に合うように、「カード会社が連絡を受け取ってから遡る事60日までが対象」となっている。これはVisaやMastercard、JCBなどいわゆる国際ブランドのカードならば同じと思っていい。

 ただし、利用者が不正利用だと思っても、実は名称の違いで本当に利用しているものとか、家族や同居人が勝手に使った等の免責条件に該当すると支払い免除にはならないし、その調査期間は白黒はっきりしないので一時的に払うことになる場合が多い。

 楽天カードにも他社同様、不正利用の支払い免除の規定がある。しかし、利用者が不正利用に対して過失があれば、当時の楽天カードは最大でも4分の3までしか補償しないという規定が過去には存在した。しかし、カード会社が会員に過失があると主張した場合、利用者側でそれを覆す証明は難しいだろう。

 また、通常盗難紛失に関する保障期間も30日と短い。規約の17条の1項で他社同様60日と書いてあるが、実際には引用文のように3項で打ち消している。楽天カードに連絡できない合理的な理由を証明するのは困難だ。

 クレジットカードの支払いサイクルは1カ月で、確定した利用明細が送られた時点では30日を超える可能性がある。かなりユーザーに不利な内容だったが、さすがに後日3項が撤回されて、現在は普通の規約文面に変更している。

クレジットカード付帯保険も時代とともに変化

 クレジットカードに付帯する保険も、カード発行会社、および引き受け保険会社によって扱いが異なる。

 かつて「米国旅行に行ったらTSAによる開錠検査された(影響で)スーツケースを破損した」というのを経験したことがある。破損の原因がTSA(米国国家公務員)によるものということで航空会社は補償せず、破損証明だけ発行してくれた。

 そこでクレジットカードの携行品補償を使おうと保険デスクに電話を行ったところ「国等の公権力の行使に該当するので補償の対象外」と三井住友カードの保険引受会社である三井住友海上火災保険に言われた経験がある。

 TSAによる開錠は2002年から行われたため、普通の人でも遭遇する機会が多かった。当時、すでにバラ掛けの保険では「空港等における安全確認検査等において、預け入れ荷物の錠が壊された場合を除きます」という免責を打ち消す文言があったが、三井住友海上が引受のカード付帯保険にはこれが追加されておらず、結局ほかのカード付帯保険で対応した。

 これも現在は、三井住友海上が保険を引き受けるクレジットカードでも支払い対象になっている。「ユーザーに有利な規約改定」を実施した例だ。

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