キャッシュレスのポイント還元 決済事業者のA型、B型とは何か?

» 2019年05月14日 14時53分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 10月1日の消費増税に伴い、国は利用者へのポイント還元や店舗の支援策などを行うことでキャッシュレス化を推進する。「キャッシュレス・消費者還元事業」という名称で10月から9カ月間実施する。

キャッシュレス・消費者還元事業の仕組み。キャッシュレス決済事業者は、店舗へのサービス提供だけでなく、国への補助金申請、利用者へのポイント発行など、中心となる役目を担う(図版は経済産業省より)

 キャッシュレス関連の事業者が、この還元策に関わるには、「登録決済事業者」として経済産業省に登録を行う必要がある。例えばポイント還元であれば、登録することで、国から5%分(フランチャイズの場合2%)の補助金を受け取り、それを利用者にポイントなどの形で還元する仕組みだ。現在、仮登録が116社あり、うち58社が登録済みとなっている。

決済事業者にはA型とB型の2種類がある

 登録済み58社のリストには、クレジットカード各社のほかJR東日本のような電子マネー提供業者、そしてPayPayのようなQRコード決済事業者などの名前が並んでいる。この中身をよく見ると、A型決済事業者とB型決済事業者という区分があることが分かる。

登録済みの58社のリスト(1)
登録済みの58社のリスト(2)

 A型決済事業者とは、消費者向けにキャッシュレス決済の手段を提供する企業だ。キャッシュレス決済のポイント還元では、こちらの事業者がポイントを発行することになる。

 分かりにくいのがB型決済事業者だ。これは、「キャッシュレス加盟店支援事業者」とされている。店舗向けにキャッシュレス決済端末やサービスを提供するなど、加盟店を支援する企業だ。具体的には、複数のキャッシュレス決済サービスを利用可能にするAirペイを提供するリクルートライフスタイルや、モバイル端末を使ってクレジットカード決済を可能にするSquare、コイニーなどが当たる。

B型のキャッシュレス加盟店支援事業者が提供するメリット

 キャッシュレス化促進のため、店舗向けの施策も用意されている。これらの施策のメリットを受けるには、各店舗は先の登録決済事業者に依頼し、代行申請してもらうことになる。「Airペイの場合だと、Webページから申し込みをすると、キャッシュレス・消費者還元事業申告情報の入力が可能。店舗に変わって手続きを行う」(リクルートライフスタイル)

 B型決済事業者の大きな役割がこれだ。

 中小企業向けキャッシュレス決済用の端末代金が無料になるのもその一つ。代金の3分の1を決済事業者が、残り3分の2を国が補助することで無料とする。各社はキャッシュレス決済に必要な設備をほぼ無償で提供するキャンペーンを実施しており、10月に向けて追い込みにかかっている。

 キャッシュレス決済の際に決済事業者に支払う決済手数料も、事業者が3.25%以下に抑えることを前提に、国が3分の1を補助する。例えば、リクルートライフスタイルのAirペイでは、通常3.24%または3.74%の決済手数料だが、10月からの9カ月間は補助を入れて実質2.16%まで削減となる。

キャッシュレス・消費者還元事業の実施期間(リクルートAirペイの資料より)

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