岡島: 仲さんにとって、それは幸せではないと?
仲: どうなんですかね。ペットは生まれた瞬間から全て与えられていますよね。ワクチンも打たせてもらうし、ご飯も食べさせてもらうし、お散歩にも連れて行ってもらえる。だから、幸せだとは思うんですけれども。
岡島: うちの娘は今9カ月で、そういう状況です。全て与えてもらって守られて。
仲: だから子どもの状況という話なのかもしれないですね。そういう子どもの状態がずっと続いていく。だから、それが幸せなのかどうか、これからの5〜10年で人が思想的な立ち位置から考えるべきポイントなのかなと思います。
岡島: ベーシックインカムになると、多くの人は与えられるだけの状況になりますよね。
亀山敬司氏(以下、敬称略): 全体がそうなるからね。経済的に上のほうにいる人間もデータに操られているという意味では同じだから。アルゴられてるっていう意味では。
仲: そう。全員アルゴられてるんですよ。
國光宏尚氏(以下、敬称略): 中世もそういう感じですよね。結局、ほとんどの人がキリスト教による秩序のような世界のなかで神を信じていた。で、それが幸せか不幸せなのかという問いかけが、今からもう少し先に、また出てくるという。
仲: そこに答えはないんですが、とにかくそういう状況になる。ただ、ラクかもしれないですよね。「アルゴリズムがそう言っているから、この人と結婚した」なんていう話になれば。
國光: そこで自由意志に任せはじめた途端、例えば出生率も結婚率も下がるんでしょね。親が「とりあえず結婚しとけよ」なんて言っていた時代はそれも高かった。世界的な傾向として、人は自由意志に任せると決断をしなくなる。少子化問題にはいろいろな側面があるけど、とにかく、ほとんどの人は自分で意思決定をしないんです。一方で、多くの貧しい国では出生率が高い。だから、そこはいろいろな問いかけが出てくるかもしれない。
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