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券売機を置かないすき家が下した「セミセルフレジ」という決断ビジネスモデルと密接に関係(2/3 ページ)

» 2019年06月04日 05時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

接客用語も短縮された

 セミセルフレジの導入は店舗運営にもメリットがある。

 まず、従来のものと比べてレジの操作がシンプルになったので、店で働き始めた新人がより早く戦力となる。つり銭をレジから取り出して渡す必要がないので、数え間違いの心配もなくなる。

 お客からお金を直接受け取ったあとの「1000円お預かります。ありがとうございます」「900円のお返しです」といった接客用語を覚える必要がなくなったため、教育コストも微量だが減少する。

 すき家の広報担当者によると、レジ業務の負担を減らすことで、商品提供のスピードアップといったサービス水準を向上させられるという。サービスが向上すれば来店するお客が増えるので、売り上げアップが見込めるというわけだ。

すき家はなぜ券売機を置かないのか

 人手不足時代に生産性を向上させるツールとしては、券売機が挙げられる。なぜ、すき家は券売機を導入しないのか。すき家の主力である郊外の店舗には家族連れのお客が多く来店し、メニューを見ながらわいわい相談して注文する商品を決めている。このターゲットの満足度を上げるには、店員がテーブルまで行って接客したほうがいいという判断をしている。また、券売機導入のデメリットとして、追加のオーダーが取りにくいという点が挙げられるが、店員が接客するスタイルならば追加のデザートやドリンクの注文もとりやすい。

 すき家にとっては、この基本となる「フォーマット」を崩さずに生産性を上げる取り組みが求められていた。こういった背景があって、セミセルフレジの導入が決まったのである。

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