HUBがビールを値上げしたのに、客数と売り上げを増やせたワケ災い転じて福となす(1/4 ページ)

» 2019年06月07日 05時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

 英国風PUBチェーンの「HUB」は2018年6月、業務用ビールの仕入れ値上昇に伴い、ビールを10円値上げせざるを得なくなった。ただ、値上げと同時にドリンクやフードの価格を見直すことで、客数は減るどころか増加し、結果的に19年2月期の既存店売上高は2.3%の増収となった。

 外食チェーンにとって、“値上げ戦略”は非常に難しい。一歩間違えば、客数が大幅に減ってしまう可能性がるからだ。HUBも過去に値上げで失敗したことがあるという。

 「災い転じて福となす」経緯はどのようなものだったのか。担当者に話を聞いた。

photo 東京を中心とした都市部に出店するHUB

HUBが抱いていた危機感

 ビール値上げとほぼ同じタイミングで、HUBはある危機感を抱いていた。既存店の売上高が11年2月期〜17年2月期まで前年比増の状況が続いていたのに、18年2月期にマイナスに転じたのだ。

 背景にあったのは低価格を武器にした居酒屋チェーンの増加だ。HUBの平均客単価は1500円前後だが、同じような価格帯で飲める焼き鳥や串カツチェーンが台頭してきた。HUBを運営するハブは危機感を持つようになった。そんな状況で、値上げを表明してしまえば、“マイナス成長”が加速しかねない。さらに、ビールを10円値上げしたとしても、仕入れ価格の値上げ分を全て吸収できるわけではなかった。このような絶望的な状況で、HUBは戦略の見直しを迫られていた。

photo 店内の様子
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