クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
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» 2019年06月17日 07時10分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:スープラ ミドルスポーツの矛盾構造 (1/6)

「ピュアスポーツを作りたかった」という想いのもと、幾多の犠牲を払ってホイールベース/トレッド比を縮めたスープラ。しかし自動車を巡る規制の強化は続いており、どんなに最新技術を凝らしても、過去のピュアスポーツカーと比べれば、大きいし重いし、ボンネットが高い。それでも、10年、20年の時を経て振り返ったら「あれが最後のスポーツカーだった」といわれるかもしれない。

[池田直渡,ITmedia]

 新型スープラが登場した。今回は細かい話はしない。新型スープラが産まれながらに抱えているさまざまな矛盾の話をしたい。

新型スープラのノーズには先代80型の面影が残っている

 「スープラをどんなクルマにしたかったのか?」と聞くと、チーフエンジニアは「ピュアスポーツを作りたかったんです」と答えた。だから、クルマの基本的な運動特性をほぼ決めてしまうホイールベース/トレッド比のディメンジョンを1.55に決め打ちした。値が小さくなるほど、回頭性が高まり、よく曲がる。だから4つのタイヤが地面に描く四角形、つまりトレッドとホイールベースで決まる矩形(くけい)の縦横比を正方形に近づけようとしたのだ。

 普通の市販車はこの比率が1.7〜1.8あたりにある。1.6を分水嶺(ぶんすいれい)に、これを切るクルマは極端に少なくなる。トヨタのような大量生産メーカーがこんなディメンジョンを採るのは異例中の異例なのだ。

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