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製薬世界トップ3の日本社長が育休を!? 「ノバルティスファーマ社長」の子育て術大企業にもイクメンの波(2/3 ページ)

» 2019年06月18日 08時00分 公開
[宮本恵理子ITmedia]

―― 休日はどのように過ごしていますか。

綱場氏 次男が手のかかる時期ですし、長男は元気いっぱいで遊びたい盛りなので、土日ともたっぷりと一緒に過ごします。

 朝はジムから帰って8時半くらいから朝食を取り、午前中は家でテレビを見せたり、「ベビークモン」で遊んだりしています。ハサミの使い方、鉛筆の持ち方、「あいうえお」などを遊び感覚で覚える教材で、長男も気に入っているんです。

 昼食を終えたら、土曜日は昼の13時からサッカー教室に行きます。運動は、早めに好きになってほしいと思っていて、1歳から連れて行っています。まぁ、サッカーといっても、ボール遊び程度で生徒も少ないので、ほとんどの日がマンツーマンで、先生に教えてもらうというより、遊んでもらっています。

 サッカーが終わると、14時くらいから近くの公園巡り。長男が気に入っている公園がいくつかあるので、順番に回っています。都内の公園はかなり詳しくなりましたよ(笑)。

 16時くらいにクルマに乗せて家に帰ると、車中の心地よい揺れで寝ているので、18時くらいまでお昼寝。起きてきたら夕食を食べて……というパターンです。

 日曜日はサッカーの代わりに図書館に行くのが定番です。本にも親しんでほしいので、絵本は週に5冊くらい借りて、読み聞かせをしています。

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家事の手間をいかに省くか

―― 土日はしっかり、お子さんと過ごすのですね。元気いっぱいのお子さんと2日過ごして親の方がグッタリ……ということにはならないのでしょうか。

綱場氏 子どもと公園に行ってボーッとできる時間は、ほどよくリラックスできるんです。

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 子育てで大事なのは、無理をしないことだと思っています。ですからうちでは、「自分たちがやらなくていいことは、どんどん人に手伝ってもらおう」と決めています。公園遊びで疲れた日は無理して食事をつくらず、(食事宅配の)「UberEATS」などを利用していますし、食材の買い物も西友や生協の宅配を活用して、運搬の手間を省いています。

 何より助かっているのは、週3回来てもらっている家事代行兼シッターさんです。

 掃除、洗濯、料理といった家事のうち、自分たちでやる必要のないものは手放して、代わりにやっていただいています。家事全体の半分以上を代行でカットした上で、夫婦で均等に分担したら、ストレスを抱えるほどの負担にはなりません。平日の食事づくりも2〜3日に一度のペースで、つくり置きをお願いして、帰宅したらすぐに食べられる状態にしています。「帰ったら何をつくろう? あの材料、あったかな?」と考える手間が省けるのは、子育てのハードルをとても下げてくれると実感しています。

 私は一人暮らしが長かったので、自分でも料理はしますし、育休中は長男の弁当もつくっていました。けれど、365日続く子育てに笑顔で向き合うには、「いかに省くか」という効率化の発想が不可欠です。子どもの表情は、親の表情を映す鏡です。親のストレスが減れば、幸せな気持ちのまま子育てができて、子どももハッピーになる。シッターさんには毎日来ていただいてもいいと思っているくらいです。

 私はつい数年前までアメリカやオーストラリアで生活していましたが、家事の外注は世界では普通のことです。「子育ての苦労は夫婦だけで解決すべき」という考え方は、「痛みを伴わなければ愛情は育まれない」といった無痛分娩否定論に近いような気がします。人それぞれ価値観は違いますが、少なくとも私たちは、あえて痛みや苦労を伴う必要はないんじゃないかと考えています。ただ、こういった話をするときっと、「綱場さんは経済的に余裕があるからそれができるんでしょう」といった反論があるでしょうね。

―― 確かに家事代行には、安くはない経済的負担が伴います。

綱場氏 私がぜひ伝えたいのは、決して社長だからできる選択ではないということです。

 当社も妻の会社もそうですが、従業員向けの福利厚生で家事代行サービスやシッター代補助が用意されているケースは多いと思います。このメリットを活用すれば、ぐんと経済的負担は減ります。私たちもフルに会社の制度を活用しています。

 また、経済的なメリットだけでなく、親以外の大人に触れる機会が増えることで、子どもが社交的に育つという良さもあるのではないでしょうか。

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