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インタビュー
» 2019年06月18日 08時00分 公開

大企業にもイクメンの波:製薬世界トップ3の日本社長が育休を!? 「ノバルティスファーマ社長」の子育て術 (1/3)

仕事をしながらの子育てで大事なことは――ノバルティスファーマ社長の綱場一成氏の子育て術とは?

[宮本恵理子,ITmedia]

この記事は、宮本恵理子氏の著書『子育て経営学 気鋭のビジネスリーダーたちはわが子をどう育てているのか』(日経BP刊)より転載、編集しています。


 気鋭のビジネスリーダーたちは、わが子をどう育てているのか――。そんなテーマで旬の経営者やプロフェッショナル10人の子育て事情に迫ったのが、宮本恵理子氏の著書「子育て経営学」だ。本記事は、同書籍の中からノバルティスファーマ社長、網場一成氏の子育て術を紹介する。

Photo 綱場一成(つなば かずなり)ノバルティスファーマ社長。1971年広島県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業後、米デューク大学大学院にてMBA(経営学修士号)取得。総合商社勤務を経て、米イーライリリーでセールス、マーケティングに従事。同社日本法人営業所長、プロダクトマネジャーなど歴任し、2009年に同社香港法人社長に就任。同社日本法人糖尿病事業本部長、同社米国本社グローバルマーケティングリーダー、オーストラリア・ニュージーランド法人社長を経て、2017年4月から現職。

―― 綱場さんは次男の誕生を機に、2018年2月、2週間の育児休業を取得しました。売上高2500億円の大企業のトップが育休を取ったというニュースに、背中を押された男性も多かったのではないでしょうか。

綱場氏 2017年11月、弊社は「イクボス企業同盟」に加盟しました。その時に、育休の取得を宣言したのですが、思ったよりも問題なく受け入れてもらえました。

 私の場合、妻が帝王切開で出産することが決まっていて、夫婦ともに両親が遠方に住んでいて頼れない状況でした。出産前後の家事や長男の世話、入院中の妻をサポートする役割は、自然と私が引き受けることになります。ですから、「働き方改革の一環としてトップ自ら育休を」というような手本を示す狙いよりも、純粋に育休を取得しなければならない事情があったのです。

 男性の育休取得というと、これまでは働き方の融通が利きやすいベンチャー企業の経営者やその社員の方々が主役だったかもしれません。

 けれど、これからはもっと大きな企業や、歴史のある堅い業界でも、経営層の育休取得が当たり前になれば、日本の働き方は大きく進歩するでしょうね。

―― 有無を言わさず必要だから育休を取った。これは女性と同じ感覚ですね。奥さまは、どのような働き方をされているのでしょうか。

綱場氏 妻は他社の外資系企業でフルタイムで働いています。彼女は彼女で自分のキャリアを大切に築いています。米Facebook COO(最高執役責任者)のシェリル・サンドバーグ氏が『リーン・イン』(日本経済新聞出版社)で語っていた「女性はハシゴではなくジャングルジム型で、さまざまなアプローチで高みを目指していっていい」という考え方に共感しているようで、私の海外駐在期間もキャリアを途切れさせることなく仕事をしてきました。

 彼女の勤務先の会社が女性登用に非常に積極的で、パートナーの赴任先でも新しい役職を見つける体制が整っているんです。これは見習うべきですし、当社もこういったサポートに力を入れていきたいですね。

 私も社長業で月に1回は海外出張があり、忙しくしています。同じように妻も日々忙しくしていますから、夫婦で連携・協力することがわが家の子育てには不可欠です。

 そうは言っても、そんなに力を入れて頑張っているわけではないんですけれどね。

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移動というデッドタイムをゼロに近づける

―― 育休から復帰して4カ月たった今の生活パターンを教えてください。

綱場氏 平日は朝6時頃に起きて、コーヒーを飲みながら新聞をチェックします。その後、私は家から徒歩3分のジムに向かいます。体を動かすのが好きで、週5回のジム通いは、20年以上続けています。1時間程度汗を流してから、帰宅する頃に妻が、そして2歳の長男と4カ月の次男が起きてきます。

 冷蔵庫に用意してある朝食を食卓に並べて食べさせて、8時頃には妻が次男を連れて保育園に。次男が生後10カ月になるまでは、長男と同じ保育園に預けられないので、一時的に別々の保育園に通わせているんです。次男が産まれるまでは、朝の送り担当は私だけで済んでいたのですが、今は妻の負担が増えていますね。

 妻と次男を送り出してから、長男を保育園に連れていくために指定のポロシャツに着替えさせるのですが、本人が嫌がるのでひと苦労です。何とか支度をして、8時半に保育園に送り届け、8時50分には会社に到着しています。

―― 朝のバタバタ具合に親しみを感じます。

綱場氏 皆さんと同じだと思いますよ。少しでも効率化するために、自宅、職場、保育園、ジムといった、毎日行き来する場所の距離をできるだけ短くして、移動というデッドタイムをゼロに近づけること。それを念頭に家を探しました。

 夜は大体、19時くらいには会社を出るようにしています。会食や海外との電話会議などで帰りが遅くなる日は、週3日までと決めています。会食に行く時も、2次会以降は行かないようになりました。遅くとも夜21時半には帰宅して、子どもに絵本を読んでから、22時までに寝かしつけるのが、基本のルーティンです。早めに会社を出られそうな日は、保育園のお迎えに行くこともあります。週に1回くらいですね。

 妻とは、Googleカレンダーで予定を共有して、すれ違いを防止しています。「この日は遅くならないって言ったじゃない」とならないように。先週、妻は育休から復帰して初めて懇親会に参加して、少しは羽根を伸ばせたようです。きっちりとパターンを決めることで、何とか毎日、回せています。

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