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» 2019年05月15日 08時00分 公開

武闘派CIOに聞く、令和ニッポンの働き方改革【前編】:日清食品HDの知られざる「IT革命」とは? 変革の立役者に直撃 (1/4)

40年間使い続けた古いシステムを撤廃、ビジネスの課題を解決できるIT部門へ――。そんな大きな変革プロジェクトでIT賞を受賞したのが日清食品ホールディングスだ。2013年、CIO(chief information officer)に就任した喜多羅滋夫氏は、どんな方法で昔ながらのIT部門を“戦う集団”に変えたのか。プロジェクトの舞台裏に迫った。

[後藤祥子,ITmedia]

 誕生から60周年を迎えた「チキンラーメン」の年間売り上げが過去最高を記録し、主力製品の「カップヌードル」の販売も好調に推移。2018年にはNHKの連続テレビ小説で創業者、安藤百福氏の妻、仁子さんがモデルになるなど、とかく話題に事欠かないのが日清食品ホールディングス(以下、日清食品HD)だ。

 そんな同社が実は、IT関連の取り組みでも注目されているのをご存じだろうか。その立役者が同社でCIO(Chief Information Officer:ITとビジネスをつなぐ役割を担う情報システム部門担当役員の名称)を務める喜多羅滋夫氏だ。

 同氏はP&G、フィリップ モリス ジャパンの情報システム部門を経て、2013年に日清食品HD初のCIOに就任。以降、IT部門のマインドチェンジを図るとともに、長年使ってきた古いシステムを刷新するプロジェクトに取り組んだ。2015年に基幹システムとして独SAP製ERP製品(迅速な経営判断をするのに必要な情報を集約し、分析するためのソフトウェアパッケージ)を導入し、2017年にはメインフレーム(基幹業務用の大型コンピュータ)の撤廃を果たした。

 2013年の就任から6年、喜多羅氏はどんな方法でIT部門を変え、古いシステムの刷新に取り組んできたのか。そして、これから同社のIT部門をどう変えていこうとしているのか――。6年間の歩みと今後のビジョンを聞いた。

Photo 日清食品ホールディングスのCIOを務める喜多羅滋夫氏

“変わりたいけど変われなかったIT部門”のパッションを解き放つ

――(聞き手:編集部 後藤祥子) 13年に日清食品HDに入社したときのIT部門は、どのような状況だったのですか。

喜多羅氏 当時は、業務部門からのリクエストをひたすら打ち返すだけでした。「業務内容に関することは口出ししなくていいから、ExcelやAccess(データベース管理システム)を駆使して基本的な数字を出してほしい。意思決定や管理会計は私たちがやります」――というオーダーに従っていた格好です。そもそも、当時はシステムをサポートする部門だったので、それで業務が回っていたのです。

 私がCIOに就任してから最初にスタッフに言ったのは、「IT部門の仕事には2つの柱がある」ということでした。一つはプロジェクトマネジメント、もう一つはサービスマネジメントです。

 システムだけを動かすのではなく、ITのプロとして、世の中の先進的なIT部門と同じような仕事をしていくことを、最初に強く打ち出しました。「売上と利益に貢献する、競争力のあるIT部門を目指そう」ということです。この6年間は、IT部門のメンバーを育成し、私が理想とする形でIT部門を運営することができる体制作りに注力してきました。

 それまでは、とにかく依頼されたことをきちんとこなすのがミッションでしたから、スタッフには考え方を大きく変えてもらう必要がありました。きっと大変だったと思います。ただ、面談などで話を聞いてみると、彼ら自身も「フラストレーションがたまっていた」と言うんですよ。よその会社はITを活用していろいろときらびやかなことをやっているのに、自分たちは「コストを使うな、と言われ続けてきた」――と。そこに新しいCIOが来て、「波が来た!」という感覚があった、と聞いています。

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