プレゼンがうまいだけの起業家が増えている――。DMM.com 会長の亀山敬司氏が、昨年12月にグロービス経営大学院東京校で開催されたイベントにおいて、最近のベンチャーブームに対する自身の考えを述べた。
「『テクノロジー・経営』における創造的破壊とは? 〜100の行動 2.0〜」と題されたパネル討議では、DMM.com 会長の亀山敬司氏、遺伝子解析サービスを展開するジーンクエスト(東京都港区)社長の高橋祥子氏、Gunosy 取締役 ファウンダーの福島良典氏、セガサミーホールディングス社長の里見治紀氏が登壇し、約100人の大学生らに講演した。以下、パネル討議の模様を前編と後編に分けてお伝えする。(セガサミーの里見氏がモデレーターを務めたため発言を――としています)。
――今日のテーマは「テクノロジー・経営」ということで、よろしくお願いいたします。若い人も関心が高いテーマだと思います。
亀山: 俺は若い人じゃないので、テクノロジーのことは全然分からないからね(笑)。「NHKスペシャル」や「クローズアップ現代」を見ていて、もうかりそうなものだけに注目しているね。それで「そろそろAIが流行(はや)りそうだ」となったときに、その分野をまねしにいって稼ぐという感じです。
――実は六本木にawabar(アワバー)という立ち飲み屋があるのですが、そこに亀山さんはしょっちゅう立ち寄っていて、そこでプレゼンを始める人たちがいるのです。それで亀山さんが「いいよ」と言うと、もしかしたら出資してもらえるかもしれないという。
亀山: そうそう。とりあえず酒を飲ませて手なずけておこうと思って(笑)。若い人は子どものころからテクノロジーになじみがあるけど、俺たちおっさんは何とかスマホを覚えてギリギリ頑張ってますというところだからね。だから俺にテクノロジーを教えたかったらアワバーに来てください(笑)。
――さて、最近はテクノロジーにも新しい動きが出ていますね。今までは重厚長大な会社をディスラプト(破壊)しようとしていましたが、今はそのディスラプトした会社をさらにディスラプトしようとするベンチャーも出ています。一時期盛り上がったシェアリングエコノミーの企業もすでにディスラプトされ始めている。そういう中で最近注目しているベンチャーのサービスはありますか?
高橋: ゲノム系だと、ゲノムデータをシェアするというベンチャーも出ていますね。自分のゲノムデータを解析して、それが売れたら自分にもインセンティブが入ってくるというような感じですね。
亀山: 最近は今まであまり関係なかった業界が、ITやテクノロジーに関心を持っているよね。お年寄りたちも何とかブロックチェーンやAI、ITを取り入れようとしているわけ。そういうところに行って、「僕AI分かりますよ」と言えば、大体採用してもらえるからさ(笑)。エンジニアじゃなくても、少しやっておくと大企業に入り込みやすい。だから、細かなところまで理解していなくても、「今この辺のテクノロジーがはやっている」というのを知っておくと、昔からある業種を更新できるよね。AIで過去のデータを引っ張り出すだけで、ベンチャービジネスが作れるかもしれない。
例えばだけど、お墓にお参りに行くと、AIで作られた自分のお父さんが出てきて「お前も大きくなったなあー」と語り掛けてくれる月額サービス。こんなのがあったら絶対やめられないよね(笑)。
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