コラム
» 2019年06月18日 08時00分 公開

いきなり:自動運転レベル3はファンタジーに過ぎない (1/3)

自動運転のレベル3が想定する「緊急時にはシステムがドライバーに介入を要求し、ドライバーはこれに『適切に』応答する」などというのは現実世界では想定すべきではない、たわごとだ。

[日沖博道,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

日沖博道氏のプロフィール:

 パスファインダーズ社長。25年にわたる戦略・業務・ITコンサルティングの経験と実績を基に「空回りしない」業務改革/IT改革を支援。アビームコンサルティング、日本ユニシス、アーサー・D・リトル、松下電送出身。一橋大学経済学部卒。日本工業大学 専門職大学院(MOTコース)客員教授(2008年〜)。


 米国の「自動車技術会」(SAE)が示した基準によると、自動運転のレベル3(条件付き運転自動化)の口語的定義は「運転自動化システムが全ての動的運転タスクを限定領域において持続的に実行。この際、作動継続が困難な場合への応答準備ができている利用者は、他の車両のシステムにおける動的運転タスク実行システムに関連するシステム故障だけでなく、自動運転システムか゛出した介入の要求を受け容れ、適切に応答することが期待される」とされている。日本での適用もこれに準ずる見込みだ。

 自動運転レベル3とは簡単に言えば、全ての自動運転をシステム側が行うものの、緊急時には運転手が運転操作を担うという状態を指す。レベル2との大きな違いは、通常はシステム側の責任において全ての自動運転が行われるという点だ。

 字面だけでは「ふーん、そうなの」とあっさりと納得してしまいそうになるが、上に記述されていることはなかなか意味深だ。普段はシステム側に責任があるが、システム故障が起きた場合や、自動運転システムから「介入して」と要求があった緊急の場合には、ちゃんと運転を受け持つ準備ができている責任がドライバーにあるという意味なのだ。

 これがどういうことかよく考えてほしい。以下の状況シミュレーションが役に立つだろう。

 あなたは高速道路で自動運転車を「運転」している。実際には自動運転システムに運転を任せて、あなたは外の景色や好きな音楽、あるいは家族との会話を満喫しているだろう。一応前方を何となく見てはいるが、ハンドルからは手を離し(たぶん、ブレーキペダルからも足を離して)、何の問題もないまま30分ほど経過した。

 そんなとき突如として車内にアラーム音が鳴り響き、システムが「緊急事態です! 運転を代わってください」と合成音で要請する。あなたがはっと前方を見つめると、目の前に遅いスピードでやや蛇行しているクルマが見える。あなたは急遽ハンドルを思いきり右に切るが、そのせいですぐ右を走っていた他のクルマを弾き飛ばしてしまい、そのクルマは中央分離帯に乗り上げてクラッシュしてしまった。

       1|2|3 次のページへ

Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.

注目のテーマ