田原総一朗が憲法9条で安倍首相を斬る――「“改憲した総理”になりたいだけ」参院選を前に「タブー」に迫る(4/5 ページ)

» 2019年06月25日 05時00分 公開
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“自分の体に合った服”を作ろうとする

――田原さん自身、井上さんと伊勢崎さんの主張同様、本質的な改憲がなされるべきだと考えていますか?

田原: だって、鳩山一郎さんが言うように、憲法と自衛隊は矛盾しているんだもの。僕は、井上さんと伊勢崎さんの主張は、なかなか難しく一般的にはならないかもしれないが、リアリティーがあると思う。やっぱり国民の多くは“宮沢さん流”です。「あのような憲法を押し付けられたんだから、安全保障はアメリカに任せ、アメリカの戦争に日本は巻き込まれない。それでいいんだ」と。

 でも、井上さんのように言うと、日本が戦争に巻き込まれたとき、日本をアメリカが助けるかは分からない。(助けなくても)何の矛盾も無いのです。

――日米安保で、むしろアメリカは得をしていると井上さんは主張していますね。

田原: 日本にいる米軍の75%の金(駐留経費)を日本は出している。

 日本人の主体性とは何か。抑止力というものをどう考えるのか。日本は考えてこなかった。

――主体的に国を守るという問題を考えることから、リベラルも保守も逃げてきたと。

田原: この「主体性」という物を考える際に、「また昭和の戦争に戻ってしまう。“自分の体に合った服”を作ろうとすることになるから、怖い」と、戦争を知っている世代は思うわけです。でも、戦争を知らない世代が出てくれば、やはり主体性を考えるべきだと僕は思います。

 政府は「日本はアメリカが核の傘で守ってもらえる」と言うが、(本当に)守ってもらえるかは分からない。本当にそれが抑止力になっているのかは分からないのです。ところが、守ってもらえると思い込んでいるわけね。本当に守ってもらえるのかどうか、日本の主体性をどうするかと考えること自体が、これから(必要なの)です。

――ただ、田原さん自身は戦前生まれの世代です。幼少時に、新たに発布された日本国憲法を読んで「しびれた」という逸話もありますね。

田原: 僕は戦争を体験した世代だから、宮沢さんや田中さんに近い。

――「アメリカに守ってもらえる」という考えも、あったと。

田原: 要はアメリカに押し付ければいい、ということ。

――でも今まさに、「本質的な」改憲を提議していますね。

田原: 本当は、こういうことを考えなくてはいけないと、僕は思っている。難しい問題だけれど。本当に本質的で大事な問題なんだよ。

 僕は数年前までは、野党が政権を取らなくてはいけないと思っていた。でもどうも、僕が生きている間は野党は政権を取れない。だから今、自民党を変えなきゃいけない。18年暮れから、「自民党を変える会」を作ったりしている。

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