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副業解禁の盲点 経験者が直面した「社外活動と退職は裏切り」という現実専門家のイロメガネ(4/4 ページ)

» 2019年06月27日 07時10分 公開
[朝生容子ITmedia]
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企業に必要なことは安心して「外に出る」風土作り

 自社社員が自らの成長のために外へ出ていくには、まず「外の世界は敵、内は味方」の考え方を改め、内外を区切る心の垣根を低くしていくことです。

 例えば退職した元同僚や先輩、後輩などのOBOG、つまりキャリアチェンジをした人同士の交流会を開催して、退職直後の人と、既に新しい仕事で実績を作っている人との情報交換を促すといったことです。現役の社員に対するサバティカル休暇(長期間勤務者に対して付与される使途に制限のない長期休暇)を付与し、その間に副業の体験をしやすくするといったことも有効でしょう。

 人材輩出企業として有名なリクルートは、若いうちから社外に飛び出すことを奨励しています。そしてリクルートのOBOGの交流を盛んに行っています。例えば「MR会(元リクルート会)と題したホームページを作成していますが、それを見ると定期的に交流会を開催しています。また独立起業したOBOGたちが、その後も何らかの形でリクルートとかかわりを持ちながら仕事をしているケースも多く見ます。

 現実にはキャリアチェンジにはリスクがつきものです。しかし必要以上に自社の外を「敵のいる場」として恐怖心を煽っては現実を見誤ります。制度というハード面に比べ、社員のメンタリティや価値観のソフト面の変革には時間がかかります。

 副業や兼業を推進する企業側には、ソフト面の着手が急がれるところです。

筆者プロフィール:朝生容子 キャリアコンサルタント・産業カウンセラー

 大手通信会社にて人材開発やマーケティングに従事後、社会人教育機関に転職し、法人営業やマーケティングに携わる。2012年に独立し、現在はキャリアコンサルタント、研修講師として活動。個人を対象とした相談は、年間約200人に上る。国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、アンガーマネジメント・ファシリテーター等

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