お笑い芸人のカラテカ・入江慎也氏の「闇営業」をきっかけに、吉本興業所属の芸人が11人も謹慎処分になったと報じられ、芸能界が揺れている。
入江氏は芸能人やスポーツ選手、経営者など友人が5000人もいると公言しており、それをウリに講演やコンサルティング、書籍の出版まで行っていた。事務所を通さずに仕事を引き受ける、いわゆる「闇営業」「直」と呼ばれるやり方で、自身のみならず多数の芸人も営業先に紹介した。しかも振り込め詐欺の集団が主催するパーティーで営業をしたとして、大きな騒動になった。
参加者の中には人気芸人も多数含まれ、闇営業の紹介・仲介をしたとされる入江氏は発覚後に即解雇となった。そして「偶然参加しただけでお金は受け取っていない」という虚偽の説明が短期間で覆されて、謹慎処分が11人に及ぶなど事後の対応もボロボロだ(執筆時点で別の事務所の芸人も合わせると13人とされている)。
すでに個々の芸人の問題ではなく、トラブル発生後に事実関係を正確に把握しないまま謝罪・釈明コメントを個人のSNSで出させるなど、吉本興業の誤った対応はコンプライアンスとガバナンスの問題まで発展している。
多くの人は他人事として見ていると思うが、実際には一般的なビジネスでも紹介をきっかけにトラブルが起こることはある。
筆者は人脈と呼ばれるようなものはほとんどなく、これまで紹介する・されるといったことはあえて避けてきた。単純にコミュニケーションが下手ということもあるが、紹介にまつわるトラブルほど面倒なものはないからだ。
しかし頑なに紹介を避けるのもかえってビジネスチャンスを逃していると考え、編集プロダクションの業務(いわゆる編プロ)を始めた。書き手を求めている企業とライターをつなぐ業務は、芸能人とライターの違いだけで紹介や仲介を業務とする面ではどちらも同じだ。
「紹介はビジネスにおいて武器にも凶器にもなる」
これは一般常識レベルの話だと思っていたが、今回のトラブルや筆者が体験したトラブルを思い返してみる限りそうでもないようだ。この問題をファイナンシャルプランナー(FP)であり、メディア運営と編プロ事業の運営を行う経営者として考えてみたい。
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