ミニ入江は身近にいる カラテカ入江氏の闇営業トラブルに見る「紹介」の怖さ専門家のイロメガネ(6/6 ページ)

» 2019年06月28日 07時10分 公開
[中嶋よしふみITmedia]
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入江氏の罪深さ

 入江氏は知ってか知らでか詐欺グループのパーティーに芸能人を多数送り込んだわけだが、そんな状況を見れば「この集団はすごい、ここで振り込み詐欺を頑張れば大もうけして有名人と仲良くなれる」と勘違いする若者もいるだろう。今回のトラブルでは、ファンよりまずは詐欺の被害者に謝罪すべきといった声まで出ているが、当然の報いだ。

 FPである筆者に近い業界でいえば、投資詐欺に有名人が広告塔として利用されることも珍しくない。ヤクザや詐欺師など信用力がない人物・団体は、芸能人やスポーツ選手のような知名度や信用度の高い存在をうまく利用する。そのために巧妙に近づく。

 入江氏や謹慎処分を受けた芸人は、詐欺集団だと知っていたかどうかが現在取り沙汰されているが、これは本質的な話ではない。反社会的な集団と取引があったことや、お金を受け取ったこと、そしてそういった団体と闇営業で取引をしてしまった時点で、全てが自己責任になる。何より相手がどんな企業なのか確認を怠っていた時点でアウトということになる。

 日常の仕事で行われる紹介や仲介で、ここまで大ごとに発展するケースはさすがにまれだと思うが、筆者が体験したように信用が失われる程度のトラブルは簡単に発生する。ミニ入江と揶揄(やゆ)したようなおかしな人物も決して珍しくない。人を紹介すること、仕事を紹介すること、そしてそれを引き受けることはそれなりのリスクがあるということだ。

 ビジネスにおける紹介は極めて重い責任とリスクがつきまとう。わずかな利益やメリットを目当てに気軽にやるものではないと、今回の事件を参考にしていたければと思う。

執筆者 中嶋よしふみ

保険を売らず有料相談を提供するファイナンシャルプランナー。住宅を中心に保険・投資・家計のトータルレッスンを提供。対面で行う共働き夫婦向けのアドバイスを得意とする。「損得よりリスク」が口癖。日経DUAL、東洋経済等で執筆。雑誌、新聞、テレビの取材等も多数。著書に「住宅ローンのしあわせな借り方、返し方(日経BP)」。マネー・ビジネス・経済の専門家が集うメディア、シェアーズカフェ・オンライン編集長も務める。お金より料理が好きな79年生まれ。

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