良いものをより安く、からの脱却これからは(1/2 ページ)

» 2019年07月16日 07時51分 公開
[野町直弘INSIGHT NOW!]
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 牛丼のチェーン大手の吉野家さんのコンセプトについては皆さんご存じでしょう。「うまい、やすい、はやい」です。しかしネットで調べてみますとこの「コンセプト」も時代によって変化しています。

 1970年代には「はやい、うまい、やすい」だったものが、1980〜1990年代は「うまい、はやい、やすい」に、そして2000年代からは「うまい、やすい、はやい」となって現在に至っているとのこと。70年代はファストフードの奔(はし)りだったことから「はやい」が第一優先に、80〜90年代はバブルや美食ブームを背景に「うまい」が第一優先に。そして2000年代からは低価格競争が激化し「やすい」と「はやい」が逆になっていることなど、時代背景を反映している状況が読み取れます。

 吉野家さんのコンセプトと同様に、今までの調達購買部門の役割・機能は「購入品のQCDの確保」と言われてきました。いわゆる「良いものをより安くタイムリーに。」ということです。

 しかし吉野家さんのコンセプト同様に時代の変化とともに、この役割・機能も最近は必ずしもそうでなくなっていることが指摘されるでしょう。その理由の一つは、QCD以外にも重視すべきことが多くなってきていることが上げられます。

 例えば最近SDGsという言葉をよく聞くようになりましたが、サステナビリティ(持続可能な)調達などはその一つです。良いものをより安く、タイムリーにだけでなく、その調達が持続可能であること、もう少し噛み砕くと持続可能性のあるサプライヤから購入すること、つまり先の3つの役割・機能に付加して、「よい取引先から買う」ということが求められています。

 持続可能な「より良い取引先」と言っても様々な観点が考えられるでしょう。信用リスク、供給リスク、また必ずしも大手企業であることが、買い手企業にとって、最適なサプライヤとは言えません。こっちを見てくれているかどうかも重要な観点です。

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