ヤフーとアスクルの泥仕合 双方の言い分は?(2/3 ページ)

» 2019年07月18日 22時01分 公開
[村田朱梨ITmedia]

アスクルの言い分は?

 この要求に対しアスクルは、「上場企業としての独立性の侵害が顕著になった」としてヤフーとの提携解消を求める考えだ。

 まず、提携時の契約に「両社の上場企業としての独立性を担保・維持すること」「アスクルとLOHACOの独立性を最大限尊重すること」「ヤフーが指名する取締役は2名とし、その他の取締役の選任はアスクルの選任プロセスを尊重すること」などが盛り込まれていることを指摘。

 岩田社長の再任は正当なプロセスを経て決定したものであり、ヤフーの要求は「指名・報酬委員会という選任プロセスを無視して定時株主総会直前に退陣を要求するといった対応は極めて不誠実」と批判している。

photo アスクルの岩田社長

 ヤフーが問題視しているLOHACO事業の赤字については、今期(20年5月期)に64億円まで改善する計画であると説明。赤字の要因の1つとされる物流センターの火災や宅配クライシスと言った問題についても、両社の代表取締役またはその代理が月1で行っているミーティングで対応を検討しており、「問題を乗り越えて次のフェーズに進もうとしていた」(岩田社長)としている。

 また、1月にヤフーからLOHACO事業の譲渡の可否を検討するよう要請があり、「具体的な提案もないまま譲渡を要請されても、判断することはできない」(岩田社長)として2月に断ったと説明。LOHACOの今後について語ることなく退陣を求めるヤフーに対し「全てが不可解だ」「成長事業であるLOHACOを乗っ取るつもりではないか」と不信感をあらわにした。

 加えて、岩田社長はヤフーの経営体制や親会社などの変更により、これまでとは両社の関係性が変わってきていると指摘。

 「ヤフーが実際何を思っているのかは分からないが、ソフトバンクグループの企業として『日本で中国のAlibabaのような通信・EC・決済・ビッグデータなどを活用したビジネスを実現しよう』という立場にあるのは理解できる。アスクルが持つリアルな物流、オペレーションなどは、必要なパーツなのだろう」(岩田社長)と話した。

 今後ヤフーに対しては提携見直しの協議を求める他、8月2日の定時株主総会までに株式の売渡請求権の行使も検討するとした。

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