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» 2019年07月24日 07時00分 公開

東京医大・入試女子差別問題の陰にちらつく「ゆるふわ女医」とはフリーランス女医が本音で斬る(3/4 ページ)

[筒井冨美,ITmedia]

 また、今回の事件で文科省に女性差別として名前を公表された医大は、いわゆる中堅〜上位私立に集中している。これは、偏差値的に下位の私立医大では、学力的に下駄を履かせた男性を入学させると、医師国家試験合格が怪しくなるからである。いくら「附属病院で当直や重症対応できる医師が欲しい」と言っても、「医師国家試験不合格の男性」よりは「合格した女医」の方が戦力になるのだし。

 聖マリアンナ医大(神奈川県)の内部調査によると、11年から女性減点操作をはじめ、17年度からは女性で2浪以上の入学生が皆無になったそうだ。これは、医大人気や学生の首都圏集中を受けて聖マリアンナ医大の偏差値も上昇してきたので、「下駄を履かせた男性でも、今のウチのレベルならば医師国家試験を突破できそう」と医大側が判断したと推測できる。

高学歴女子、時短勤務望み医学部へ

 女性減点入試に対する「意識高い系」有識者の意見は、軒並み「女性を排除するのではなく、女性が長く働きやすい体制を整えるべき」といった内容になっている。実際、ここ10年で、医療界は「時短勤務」「当直免除」など、女性医師が長く働けるような制度を整えてきた。

 現在の大学病院には、女医復職支援室のような部署が必ず設置(運用実態はさまざまだが)されているし、研修医募集のHPには「医師の夫と結婚して、出産後は平日昼間のみ時短勤務しています」といった女医が、ロールモデルとして登場していることが多い。

 こういう情報はインターネット上で広く公開されているので、女子高生やその親も簡単にアクセスすることが可能である。しかしながら、それを支援する側として確実に存在するはずの「当直月10回の独身女医」的な人材は、まず病院HPには登場しない。

 こうした流れを受けて、「資格は一生使える」「日本社会の中では比較的マシ」「医師の時短勤務の方が、学校教師よりラクかも」「男性医師と結婚できて時短勤務……ってステキ」と、高学力女子高生が医学部に集中するようになった。「早慶上智などハイスペック女子大生が、総合商社一般職に集中」と似たような構造である。

 その結果、「女性支援制度を整えれば整えるほど、受験生の女性率は上昇し、相対的に女性を支援するはずだった男性が弾(はじ)かれる」というジレンマが存在している。「女医の出産・育児を無理なく支援する」ためには「支援される人数の倍以上の支援する人材数」が必要になる。それを実現するための方策が、入試における女性減点、及び3分の1で止まった医大女性率だったとも言える。19年1月、女性減点入試が発覚した順天堂大学が、かつて受賞した「女性活躍推進大賞」を返上していたが、「女性支援策の充実には、女性率制限が必要」というジレンマを表す一例でもある。

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