最近、宇宙ビジネスでガンダムファンの胸を熱くするニュースが相次いでいる。宇宙ベンチャーBlue Origin を率いるAmazon創業者のジェフ・ベゾス氏は5月、記者会見で月着陸機「Blue・Moon」を公開。1兆人収容可能なスペースコロニーを作るといった、宇宙植民への野望を明らかにした。
特に、ベゾス氏の構想にある円筒型の「オニール型スペースコロニー」は、ガンダムにそっくりのコロニーが登場するので、ファンにはなじみが深い物だ。このオニール型スペースコロニーの考案者である物理学者ジェラード・オニールが、ベゾスの指導教官だったことも彼のプランに影響していそうだ。
テレビアニメ「機動戦士ガンダム」が放送を開始した1979年当時は“空想”でしかなかったSFの世界が、今まさに現実の物になろうとしている。ガンダム経済学の10回目となる今回は、スペールコロニーを始めとしたガンダム世界を彩る数々のフィクション要素が現実世界の物になった場合、科学技術だけでなく現在の社会科学などの見地から、どれだけリアリティーがあるか検証してみたい。
まずは、ガンダムの冒頭のナレーションで「人類の第二の故郷」とうたわれた、スペースコロニーについて考えてみたい。天体と天体の間で重力場と遠心力が安定する場所、各ラグランジュポイントに設置された多数のスペースコロニーが宇宙での居住空間になるとみられる。距離の近いスペースコロニーほど交流が密になるので、各コロニーに共通する行政機関が求められることもあれば、利害調整や宇宙独特の生活、新たな技術に対応するルール作りのため、立法機関が必要になることもあるだろう。
スペースコロニー1基に仮に数百万人が住むとしてその経済規模、住環境の特殊性、地球からの距離などを考えると、地方自治体よりも強い権限を持った政府が設置されることになりそうだ。宇宙世紀でいうサイドの形成である。地球からの租税公課や自治権の在り方などに不満があれば、未来の現実世界でも、サイドが地球からの独立を宣言しそうである。
その際、軍事衝突の懸念が高まれば、球体の量産機であるボールのような、物理学の視点で合理的な兵器が使用される可能性が高いと思われる。だが案外、技術力を誇示するためにMS(モビルスーツ)のような人型機動兵器が試験的に実戦投入されるかもしれない。
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