就職情報サイト「リクナビ」が、就職活動中の学生の「内定辞退率」を、本人から十分な同意を得ることなく予測し、企業に提供していた――という一部報道に対し、運営元のリクルートキャリア(東京・千代田)がコメントを発表した。
同社は、企業に提供していたデータはあくまでリクナビの閲覧データをもとに算出したスコアであり、学生の能力を推し量るものではないと説明。「提供された情報を、合否判定に活用しないことに同意した企業にのみ提供していた」としている。
この問題については、8月1日付で日本経済新聞(電子版)が「就活学生の『内定辞退率』を本人の十分な同意なしに予測し、約40社に有償で提供していたことがわかった」「個人情報保護委員会が事実関係の確認を始め、リクナビ側は7月末でデータ販売を休止した」などと報道していた。
問題となったのは、リクルートキャリアが2018年3月から提供している「リクナビDMPフォロー」という企業向けサービス。採用活動を行っている企業が、自社の選考や内定を辞退する可能性のある学生に対し、面接を受けてくれるよう呼び掛けるといったコミュニケーションを促すために開発したという。
例えばA社に対しては、「現在A社を受けている学生」がどれだけA社の選考・内定を辞退しそうか、5段階で判定した結果を提供。判定にあたっては、「前年度にA社の選考・内定を辞退した学生」がリクナビ上でどんな行動を取っていたか――といったデータを、個人が特定されない形で活用・分析し、アルゴリズムを作成。現在A社を受けている学生の行動と照合していたという。
リクルートキャリアは、「A社に対して提供しているのは、あくまでA社の選考に関する判定結果のみ」と説明。「A社の選考を受けていない学生の情報」「A社の選考を受けている学生の他企業の内定辞退率」といったデータや、「学生の行動データそのもの」は提供していないとした。
また、提供先企業については、判定結果をもとに「内定辞退率が高そうだから採用しない」といった合否判定を行わないよう、同意書にサインをもらっていたという。
一方、学生に対しては、リクナビ登録時に提示するプライバシーポリシーへの同意をもって、「リクナビ上の行動履歴などのデータを第三者に提供する可能性がある」という点についても、同意を得ていたと認識していたという。
しかし、これについては、個人情報保護委員会などから「第三者提供が具体的にどんな内容を指しているか分からない」「学生に対して、もっと分かりやすい説明を行うべきだ」といった指摘があったという。
指摘を受け、同社は7月31日にリクナビDMPフォローの提供を一時的に停止。今後についても、学生に対して個人情報の提供についてどう説明すべきかを検討し終えるまでは、引き続きサービスを休止するとしている。
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