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» 2019年08月08日 06時00分 公開

職業人生で、「キャリア・アンカー」を意識することは重要だ (1/2)

米国の心理学者、エドガー・シャインが提唱した有名な「キャリア・アンカー」は、職業人が自らのキャリアの形成・選択を考える際に、もっとも大切にしたい価値や欲求のことを言う。ちなみに、アンカー(anchor)は船の錨(イカリ)のことで、“動かせない点”といった意味である。

[川口雅裕,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:川口雅裕(かわぐち・まさひろ):

 組織人事コンサルタント (コラムニスト、老いの工学研究所 研究員、人と組織の活性化研究会・世話人)

 1988年株式会社リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報および経営企画を担当。2003年より組織人事コンサルティング、研修、講演などの活動を行う。

 京都大学教育学部卒。著書:「だから社員が育たない」(労働調査会)、「顧客満足はなぜ実現しないのか〜みつばちマッチの物語」(JDC出版)


 米国の心理学者、エドガー・シャインが提唱した有名な「キャリア・アンカー」は、職業人が自らのキャリアの形成・選択を考える際に、もっとも大切にしたい(どうしても犠牲にしたくない)価値や欲求のことを言う。ちなみに、アンカー(anchor)は船の錨(イカリ)のことで、“動かせない点”といった意味である。

 そしてシャインは、キャリア・アンカーを、(1)管理(組織の中で、責任ある役割を担うことを望む)、(2)技術的能力(専門性や技術の向上を望む)、(3)安全・安心(安定した組織に属していることを望む)、(4)創造性(新しいことをする、創造的な仕事に取り組むことを望む)、(5)自律(自分の思うように、独立した仕事をすることを望む)、(6)奉仕・貢献(社会貢献や他者への奉仕が実感できる仕事を望む)、(7)挑戦(高い目標、困難な問題の解決などに挑戦することを望む)、(8)仕事と生活のバランス(個人の生活や家族と、仕事とのバランスがとれるように働くことを望む)の8つに分類した。

 職業人生で、このキャリア・アンカーを意識しておくことは重要だ。自分がどうなりたいか、何を目指すか、何を大切にして働いていくのかを全く考えずに、あるいは曖昧にしたままで働きつづけるのと、そうでないのとは、与えられた役割や目の前にある仕事が持つ「自分にとっての意味」が大きく変わってくるからである。

 自分の今の役割を果たすことは、将来の目指す姿につながっていると思えれば、やる気もわいてくる。自分の今の担当業務が、自分のアンカーと一致していると意識できれば、その取り組み姿勢はより強化される。また、自分のアンカーを知っておけば、自らの仕事に対する価値観を分かりやすく会社・上司・同僚に言葉で伝えられるから、より協調的な関係で仕事に取り組めるようになるはずだ。

 キャリア・アンカーの理解は、職業人生の充実に大いに寄与する。同じ発想で、高齢期の充実に大いに役立てていただくために提唱したいのが、「エイジング・アンカー」である。エイジングは、年齢を重ねていくこと。「キャリア・アンカー」が、職業人生で大切にしたい(どうしても犠牲にしたくない)価値や欲求のことだから、「エイジング・アンカー」とは、高齢期の生活において、大切にしたい(犠牲にしたくない)価値や欲求のことを言う。私たちは、次の10の分類を行った。

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