このようにPROEARTHのビジネスモデルはまず、土木建築業者などのユーザー企業、とくに財務的に体力に乏しい中小・零細企業にとって、リース代がだいぶ低く抑えられるなどのメリットをもたらすものだった。
一方、PROEARTHの利益構造はまず手数料や、買い取った中古車両の残存価格を高めに設定することでサヤを抜く。そして同社が買い取り、自社の資産とした中古車両や建設機械は、ほかの顧客へ回される場合も多かったが、在庫余剰となった場合は同業者やグループ会社との相互融通に回したり、海外へ売却したりしていた。
ファイナンス&リースという仕組みを巧みに駆使した錬金術ともいえる手法で、PROEARTHはどんどん顧客を獲得し、業績を上げていった。それが、業界内で訝しがられるほどの急成長を遂げたカラクリだったというわけである。
コピー機といったオフィス機器などだと、寿命があまり長くないため、リース終了と同時に廃棄処分せざるを得ないケースが大半だ。それに引き換え重機は寿命が長いため、買い取った後も繰り返しリースに出せるし、買い手がいれば転売も可能だ。
特異な営業手法ではある。ただ、「その時々の需要に応じて相互に融通、リファイナンスするのは当然。ダンプや建設機械は寿命が長く、売ればなおキャッシュになる」(リース会社)ともいわれており、このビジネスモデルから逸脱していない限りにおいては、違法とはいえない。
協力企業の間を伝票や金だけが巡り、モノのやりとりがなければ違法な循環取引になるが、PROEARTHのビジネスモデルにはモノの裏付けがあるため、循環取引ではないのだ。もっとも、違法ではなくとも多くの業界関係者が違和感を持つほど、コースアウトぎりぎりでアクセルを吹かし続けるスタイルではあったようだ。
PROEARTHに関しては、14年夏ごろから「循環取引を行っている」などと囁かれていた。当時はまだうわさの域を出ないものだったが、それでも業界平均を大きく上回る同社の成長ぶりに、強い違和感を持たれていた。
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