トラックレンタル業界の“異端児”が繰り広げた「違法すれすれの錬金術」――見せかけの急成長が招いた倒産事件あなたの会社は大丈夫? 『倒産の前兆』を探る(6)(4/5 ページ)

» 2019年08月15日 05時00分 公開
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大口得意先の突然の破綻で「終わりの始まり」

 PROEARTHの信用不安は、16年末をピークにいったん収束したかに見えたが、17年夏から再び高まり始める。

 今度は単なる「うわさ」「疑念」ではなく、もっと実態に伴う信用不安だった。同社に対する金融機関の微妙なスタンスの変化が知られることとなり、市中金融からは、同社振り出しの高額不審手形の存在が伝えられた。

 さらに8月に入ると、同社の資金繰りがひっぱくしていることを伝えるさまざまな信用情報が寄せられるようになった。この時点で、一定数の取引先に対して支払われるべきものが支払われていなかったのは事実であり、その数と金額は月を追うごとに増えていく。その水面下の泡立ちが次第に大きくなっていたこの時期、信用不安を一気に表面化させたのが日商(仙台市青葉区)の破綻だ。

 日商は、東日本大震災後に土木工事業に参入し、PROEARTHの大口取引先の一社としてともに業績を伸ばしていた企業だった。それが10月2日に突如、破産手続き開始決定を受けて倒産したのだ。

 負債総額は約38億円。これまでにもPROEARTHの得意先が倒産することはあったが、いずれも中小・零細企業だった。しかし日商の倒産は、その焦げ付き額が1億円に達する巨額なものであったこと、またその取引状況についてさまざまな風評を呼んだことから、与信的な観点においては「終わりの始まり」を意味するものだった。

 これを機に、PROEARTHの急激な信用収縮が始まることになる。

phot PROEARTHが入居していた建物

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