「丸ビル」の17年 なぜ“オフィス街・丸の内”は変わったのか丸の内は今も“31メートルの街”(4/4 ページ)

» 2019年08月28日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]
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2020年代からの丸の内はどうなる?

 再構築を始めてから約20年。2020年代からの丸の内はどうなっていくのか。一つの方向性としては、「何か新しいことが生まれる街」という機能をさらに高めていく役割がある。

 かつてはオフィス街として、大企業のオフィスが多かったが、現在はベンチャー企業やスタートアップ企業を支援する施設も増えている。FinTech(フィンテック)のビジネスをサポートする拠点を設けるなど、大手企業とベンチャー企業をつなぐ役割も担う。また、人工知能(AI)やロボットなど最新技術の実証実験の場として、街を活用する動きも活発になっている。

 ビジネスの街として発展してきた丸の内を、広い意味で“開かれた街”にする新しい取り組みも生まれている。18年、大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会の設立30周年記念として、「OPEN CITY MARUNOUCHI(オープンシティ丸の内)」が実施された。普段は立ち入ることができない場所や、あまり知られていない名所を巡るプログラムを企画し、一般の人たちに街を知って楽しんでもらう施策だ。「丸ビル探検」「東京ステーションホテル歴史探訪ツアー」「地下空間探検」「昭和モダン建築ツアー」などを企画。春と秋の2回開催し、盛況に終わった。今後も開催する予定があるという。

 丸ビルの建て替えをきっかけに、多様な人が交流する街に変わろうとしてきた丸の内。周辺地域も含めて、都心における変化は今も絶えず続いている。東京駅の北側、日本橋口に近い常盤橋地区では、日本一となる高さ約390メートルの超高層ビルを含む再開発計画が進行中だ。

 劇的な変化が続く中で、丸の内の象徴であり続けている丸ビル。新しい時代にはどのような存在感を発揮していくのだろうか。

1992年の丸の内周辺
2018年の丸の内周辺
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