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» 2019年09月05日 08時00分 公開

働き方改革の旗手、白河桃子と沢渡あまねが対談! ――会社を滅ぼす「仕事ごっこ」をやめる方法“昭和の常識”が会社を滅ぼす(2/4 ページ)

[やつづかえり,ITmedia]

許すまじ! 無自覚に相手の時間を奪う「仕事ごっこな人たち」

白河: 沢渡さんは講演をされる機会もたくさんあると思いますが、事前に主催者との打ち合わせを求められることが多くないですか?

沢渡: 多いですね。

白河: どうしてます?

沢渡: 「ほとんど静岡県にいるので(都内にいない)お打ち合わせはできません」って言います(笑)。私、多いときは月の半分は磐田市と浜松市で仕事してるので。

白河: それでいいんですよね。私も、よっぽど意義のある打ち合わせ以外はお断りするようになりました。依頼する時点で私がどんな人物かは確認しているはずだし、「働き方改革の講演を」と言いながら、私と1時間面談するためにわざわざ地方から出てくるのはおかしくないですか? と。打ち合わせはメールでとお願いすると、「そこをなんとか……」と。でお会いすると、ただのあいさつのみ。ああ、この人は私に「会う」ことこそが「仕事」なんだなと。もう「世直し」のつもりで、無駄な「ごあいさつ」「打ち合わせ」はお断りするようにしています。

沢渡: 「取りあえず打ち合わせ」文化の背景には、「この人何ができる人なのか分からない」「相手が何を求めているのか分からない」というお互いのモヤモヤがあるんですよ。私は「妖怪モヤモヤ」と呼んでいますけど(笑)、リモートワークが進まない原因もそれです。何かあったら困るから「取りあえず会おう」「取りあえず同じ空間にいよう」という話になる。モヤモヤは生産性、モチベーション、成長の敵です。

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白河: 以前、Googleのプロジェクトで30社ほどの企業が「未来の働き方トライアル」という取り組みに参加し、「決めた時間に帰る」ということを1カ月ほど続けたんです。印象的だったのが「今まで労働時間なんて意識したことがなかった」という意見がたくさん出たのと、「上司と仕事の期限は決めていても、レベル感を握っていなかった」という人がいたことです。まさに、期待値の調整ができていなかったということですよね。

沢渡: そうなんです。仕事をお願いする側と受ける側が、簡単にでもいいから「成果物のイメージはこれ」という絵を描いてみると、「あ、僕のイメージと違う」と分かるわけです。そうなって初めて、ズレを補正するために対面で意識合わせが必要なのか、リモートでやりとりすればいいのか、コミュニケーション方法の選択が可能になるんです。

白河: 何がズレていて、どうしたいのかも分からずに「会いましょう」というのは時間の無駄ですよね。

沢渡: 例えば私の場合、講演の依頼を受けたら、確実に私に発注してくださると判断できた時点で講演資料を全て相手に送ります。「この中から選んでくれ」と。そうすると相手が考えて、「これが一番近いです。今、当社の現状はこうなので、追加でこういうメッセージも入れてください」ということが、ビジネスチャットやメールなどのテキストベースでできるようになるんですよ。

白河: それが本当の「仕事」ですね。私が初めて「仕事ごっこ」の害の大きさに気づいたのは、某大企業さんの講演の依頼を受けたら、署名捺印の必要な書類が7種類も送られてきたときです。7種類それぞれに違う担当者がいて、いちいち電話がかかってくる。私は個人事業主なので、こうした事務作業は非常に負担が大きい。最終的には「講演会の日までにこの書類を返送できなかったら、何が起こるんでしょう? 私が講演できなくなるんでしょうか?」と聞いてしまいました。

沢渡: 良い質問ですね。

白河: そうしたら「そんなことはございません」と……。今、いろいろなところでRPA化が進んでいますが、こんな意味が分からない仕事をそのままRPAにしたら、ロボットが7種類の書類を作って私に送り、ロボットが電話をかけてくるのかな、と考えちゃいました。

沢渡: そういうのを「自己満足RPA」って言ってます(笑)。自分たちは楽になるけれど、相手の手間は多いまま。私、4月に『業務デザインの発想法』という本も出したんです。その中にも「RPA化する前に、残念な業務をなくしましょう」ということを書いています。

白河: そのままRPAにしたら、「仕事ごっこ」の悪影響が外部に振りまかれるだけですよね。最近IT系の方も「RPAの限界」とよく言っています。

沢渡: 私は最近、「事務作業サーチャージ」の運用を始めたんですよ。仕事を請けるとき、どんなプロセスがあるのかを事前に聞いて、事務作業の量によって追加料金をいただくんです。

白河: なんと! それはいいですね。

沢渡: 請求書に「事務作業サーチャージ 5万円」と書いてあったら、経理の人は「これ何ですか?」と聞くでしょう。担当者が「手続きが多いからこれだけかかっているんです」という話をすれば、「これなくせば、5万円下がるのね」と気付くわけですよ。そうやってクライアントの意識も高めていきたいと思っています。

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