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» 2019年07月31日 08時00分 公開

「滅びゆく会社」の特徴とは:優秀な人が大量に辞めていく企業の共通点は? 「人材流出企業の覆面座談会」で明らかに (1/6)

ただでさえ人手不足で人材を集めるのが難しいこの時代に、惜しげもなく優秀な人材を流出させてしまう企業では、いったい何が起こっているのか――。

[酒井真弓,ITmedia]

 初夏を迎えた都内某所に、年齢、性別、業界や職種もバラバラな5人が集まった。彼らの共通点は、優秀な人材がどんどん辞めていく「人材流出企業」で働いているということだ。

 ただでさえ人手不足で人材を集めるのが難しいこの時代に、惜しげもなく優秀な人材を流出させてしまう企業では、いったい何が起こっているのか――。

 ITmedia ビジネスオンラインでは、人材の流出が著しい企業に勤める5人を招いて座談会を敢行した。狙いは人材流出企業で起こっていることの共通点をあぶり出すことだ。

 もし、この記事を読んでいるあなたが、「今の会社に残るべきか、転職すべきか」を迷っているのなら、判断のヒントとされたい。

Photo 人材流出企業の共通点とは……

登場人物

広報さん(20代 男性):新たな人事評価制度に納得がいかず、1カ月後に退職予定

サポートさん(30代 女性):ユーザーサポートとして当初は愛社精神にあふれていたが……

営業さん(30代 男性):現場感覚をなくした上司のおかしな戦略や言動にへきえき

技術さん(40代 男性):手段が目的化した経営の態度に憤っている

人事さん(40代 女性):人材流出企業の人事部長で、転職活動中


おかしな人事評価制度改革にドン引き!?

――広報さんは、1カ月後に人材流出企業を退職するそうですね。

広報 ずっと迷っていたのですが、やっと決心しました。本気で「会社を辞めよう」と思うようになったのは、新しい人事評価制度が導入されたことがきっかけでしたね。

 人事は新制度導入の目的について、「年功序列を排除し、優秀な若手を適正に評価する」と説明していて、当初は社員からもおおむね好意的に受け止められていました。しかし、いつの間にか、営業などの「目立つ功績を上げる人」が評価され、サポート部門が評価されにくい指標に変容していたんです。

人事 「お金を稼いでくる人たち」が必要以上に評価され、「縁の下の力持ち」が評価されないケースは、よくありますね。サポート部門の人たちからすると、自分たちの仕事が軽視されていると感じますよね。

広報 当社の事業は営業だけで成立するものではなく、サポート部門による運用や顧客対応がリピート受注につながっているんです。私はこれが会社の共通認識だと思っていたのですが、経営や人事部の考えは違っていたのかもしれません。

 サポート部門の貢献は数字に現れにくいものも多く、個人の仕事をつぶさに見ていなければ適正な評価は難しいんです。私は、分かりやすい数字でしか評価できない評価者側の未熟さも許せなかった。

営業 制度だけ新しくしても、評価する人がダメなままだと何も変わらないですよね。仕事の価値を理解していない上司に、“質より量”だけで評価されると頭にくるし、しらけます。まぁ、価値が分からない人は数字しかよりどころがないから仕方がないのかもしれませんが……。

――人事評価で不利益を被ったことはありますか?

技術 全く畑違いの部門から落下傘のごとく、上司が異動してきた時には驚きましたね。エンジニアからしたら、「調整力がある」というだけで、技術が分からない人が上司になるのは地獄ですし、その上司も、知識も実績もない分野でマネジャーをやらなければならないことがストレスになっていました。そんな人が正しい評価をできるはずもなく、おかしな評価をされて悔しい思いをしましたよ。

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広報 そもそも、なぜ、そんな人事が?

人事 スペシャリスト人事ではなく、日本的なゼネラリスト人事で異動を考えるとこうなりますね。昔は、むちゃくちゃな異動、転勤、出向がまかり通っていた時代もありましたが、これが通用するのは「会社に対する社員のエンゲージメントが絶対だった時代」の話。経営層が、一昔前の過信を引きずったままだと、今後も同様の悲劇が繰り返されるでしょうね。

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