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» 2019年09月06日 07時00分 公開

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:がっかりだった自動運転バスが新たに示した“3つの答え” (2/5)

[杉山淳一,ITmedia]

 遠隔監視システムは車内の状況監視のほか、運行にも関与する。もともと監視者は、車内の異常を確認した場合に停車させる権限を発動できる。今回は発進についても指示を出せるようになった。例えば、横断歩道からの発進について、前回は運転手が安全確認して発進スイッチを押していた。それは今回も同様だけれども、遠隔操作でも可能にしたとのこと。つまり、遠隔運転手が運転手の代わりを務められるため、無人運転の仕組みが整った。

遠隔操作システム。1人で複数台のバスを担当すると想定

 さらに、車掌を乗務させた。車内のトラブルや乗客のサポートを担当する。遠隔サポートと連携し、緊急停止の権限を持つ。今回はベビーカーの乗車を手伝う場面を想定した。無人運転による不安を取り除き、安心して自動運転バスを利用できる。

 自動運転で無人運転が可能、という理想からは離れるけれども、バスの営業運転では中型二種運転免許、大型二種運転免許が必要で、人材確保面で制約が多い。しかし車掌は極論すれば運転免許も不要で、雇用対象となる人材範囲が広がる。小田急グループが目指す自動運転の当面の目的は「バス運転手不足の解決」だから、車掌乗務は問わない。

 自動運転は無人運転と同列に扱われることが多いけれども、実際は違う。まず自動運転があり、無人運転は究極の目標だ。自動運転から無人運転へは緩やかに移行していく。私個人的には、サービス業務のロボット化は可能であっても、顧客からは受け入れられにくいと思うから、完全無人運転は難しいのではないかと思う。

手放し運転で出発

 ゆりかもめや六甲ライナーなどの新交通システムは完全自動運転だ。しかし、乗ってみると景色を楽しめるほかは「横に動くエレベーター」のようで味気ない。舞浜駅とディズニーランドを結ぶ「ディズニーリゾートライン」は完全自動運転だけれど、車掌として「ガイドキャスト」が乗務する。

 顧客へのサービスは人の手と心が必要だ。そこも自動、無人化するなら、擬人化アンドロイドの実用化だろう。余談ながら、9月1日から始まった特撮ドラマ『仮面ライダーゼロワン』が、そんな未来を予想させてくれる。

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