「やよい軒」「ほっともっと」運営会社のプレナス 大戸屋・コンビニとの“死闘”の行方長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)

» 2019年09月10日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

やよい軒が飛躍するには?

 やよい軒は351店から377店へと26店増えている。年商は311億6500万円(同6.5%増)、営業利益は12億9800万円(同11.4%減)となった。利益が減った要因は、決算書では「主に仕入コストの上昇」とある。こちらも業態の勢いはあるものの、コスト面では楽な経営ではないようである。

 やよい軒も先に券売機で会計を済ませる方式で合理化を進めているが、人件費の高騰や、ビーフステーキのような高級な食材を何とかリーズナブルに提供しようとして、コストが厳しくなっている。やよい軒は「最高の普通を。」をモットーとしているので、やはり1000円以上するようなメニューは、よほどの特別なイベントでなければ出すべきではないのではないか。最近では、郷土料理をアレンジした大分名物「とり天とだんご汁の定食」のような料理も楽しいが、860円と結構高額で、だんだん大戸屋のような趣味に走った路線に傾かないか心配である。

 それでもやよい軒が人気を保てていられるのは、ごはんのおかわりが自由だからだ。卓上の漬物も気前良く取り放題で、そこが受けている。

 4月に一部の店で、ごはんのおかわりを有料にしたため批判が殺到。ついには撤回した。

 やよい軒は600〜700円台の定食が主流だ。プレナスとしてはあと100円値上げしたいのが山々だろうが、大戸屋から移ってきた顧客が牛丼チェーンなどに流出する恐れがある。10月から消費増税もあり、懐事情の厳しい顧客は値上げをすると離れていく。

 ほっともっとグリルの店舗と、ほっともっとの店舗の適正な配置。そして、低価格弁当の維持。やよい軒は600〜700円台の普通の定食の充実とごはんおかわり自由の維持が、さらなる成長のポイントではないだろうか。

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