「やよい軒」「ほっともっと」運営会社のプレナス 大戸屋・コンビニとの“死闘”の行方長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)

» 2019年09月10日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

弁当業界はコンビニに押されてる

 プレナスの2019年2月期決算は、売上高は1539億1400万円(前年同期比5.6%増)と伸びたものの、営業損失が5億100万円、当期純損失が29億2600万円と赤字に転落していた。経常利益は1億4300万円(同97.3%減)とわずかながら出ていたが、急速に悪化したのは明らかだ。

 国内の店舗展開は、ほっともっとが2723店から2748店へと25店増えている。年商が1100億3600万円(同4.2%増)なのに対して、営業損失8億6000万円と赤字になってしまった。前年は39億7600万円の営業利益が出ていた。決算書によれば「主に商品力強化・人材確保・育成への投資、仕入コストの上昇」が赤字の要因だという。要は拡大路線で店舗が増えすぎたのだろう。そこで、新業態であるほっともっとグリルと、ほっともっとを立地によって2ブランドに分けようとしている。

 コンビニの商品強化も影響している。弁当の味の向上に努めているのはもちろん、イートインスペースを備える店が増えた。他にも、おかずになるような惣菜類が充実し、カップ麺、おにぎり、サンドイッチ、サラダからスイーツまで商品のラインアップがますます豊富になっている。サラダチキンのようなヘルシーな商品にも力を入れてきており、20〜40代の男性ばかりでなく、働く女性のニーズにも応えている。

 弁当業界はコンビニに押されて全般に苦戦しており、ハークスレイの「ほっかほっか亭」も、19年3月期の売上高182億200万円(同4.4%減)、営業利益11億8200万円(同3.5%減)と減収減益である。

健闘しているオリジン弁当     

 そうした中で、コンビニに対抗して果敢に業態を変えてきたのは「オリジン弁当」を展開してきたオリジン東秀で、2014年から出店している新業態「キッチンオリジン」を拡大中だ。量り売りの惣菜を売っている。9月9日現在で393店まで増えた。これは働く女性をターゲットにしており、カフェ風の店舗を構築し、自由に選べる野菜中心のヘルシー志向なデリを十数種類以上、豊富にそろえている。

 一方で、男性に人気が高い弁当も出来合いを含めてそろえている。おにぎりやおでんもあるので、弁当をつくる時間がない人のニーズにも応えられる体制になっている。

 そのうえ、多くの店ではイートインを備え、うどんやラーメンのような麺類だけでなく、生ビールなどでちょい飲みも楽しめる店もある。つまり、飲食店としても機能しているのだ。しかも、セルフ式のコーヒーが1杯70円とコンビニの100円よりも安く飲めて、充電できるコンセントを備えた店まである。キッチンオリジンのカバーする客層は広い。

 ほっともっとグリルも頑張っているが、ヘルシー志向の女性にターゲットを絞り込み過ぎているのが気になるところだ。

photo キッチンオリジンは健闘

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