発行会社大手の三井住友カードは、Visaタッチ対応クレジットカードの現状について、「現在300万枚搭載済み。更新時にはタッチ決済対応カードを送っている。20年7月までに1000万枚を発行したい」(マーケティング本部長の神野雅夫氏)と普及の加速を宣言した。
国内で2800万枚のクレジットカードを発行するイオンフィナンシャルサービスでも、「タッチ決済可能なカードの発行枚数は300万枚を突破している。20年3月には、これが500万枚に、21年には累計1000万枚になる予定」(鈴木正規会長)と意欲的だ。
決済方式の普及には、カードだけでなく利用できる店舗の拡大が両輪として必要だ。国内小売最大手のイオンでは、「国内で約10万台のレジがある。来年3月末までに、この全てのレジでタッチ決済が使えるよう準備を進めている」(鈴木氏)と話す。
スマートフォン決済の比率も増加してきているが、キャッシュレス決済の約90%はクレジットカードが占める。「(キャッシュレス決済額は)68兆円と圧倒的にクレジットカードが多い。クレジットが非日常から日常に変わってきている。さらに便利にタッチで支払う、これが我々が目指すキャッシュレスの姿だ」と、三井住友カードの神野氏は意気込む。
国内では、対応加盟店が少ないこともあり、Visaタッチなどのコンタクトレス決済を使ったことのある人は限られる。しかし、海外ではメインのキャッシュレス支払い手段となってきている。Visaによると、欧州やオセアニアなどでは対面取引の50%がタッチ決済だ。
特にオリンピックを契機としてデビットとタッチ決済を推進した英国では、キャッシュレス決済比率が一気に70%まで上がった。
「イギリスではどこもかしこもデビット、コンタクトレス。飲食店でも交通機関でもタッチで決済ができる。日本ではオリンピックを機に、タッチ決済によるキャッシュレスが増加していくだろう」と、三菱UFJ銀行の決済ビジネス本部長 真鍋宣剛氏は話した。
一方で、米国でのVisaタッチ普及状態は日本に似ている。現在約1億枚のVisaタッチ対応カードが発行されているが、普及は日本同様これからだ。また、クレジットカードのコンタクトレス決済は、技術的にはApple PayやGoogle Payなどスマートフォンでも利用可能だ。海外では、多くがスマートフォン経由のタッチ決済となってきている。ただし、国内ではApple Pay、Google Payへの対応は限定的だ。
「スマホ対応にも着手している。今の段階で、全てのスマホでタッチ決済が利用できるのかの時期については明言できないが、いずれはどんなデバイスでもいつでもタッチ決済が利用できるようにしたい」(Visaのカービン社長)
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