トヨタの説明によれば、世界各国で販売されるカローラは、地域によって求められるキャラクターが異なる。欧州では「スポーツ」、アジアでは「高級」、そして日本では「コンパクトな取り回しの良さ」が求められるという。
確かにCセグメントという商品特性を考えれば、競合車も同じような条件が求められだろうが、販売台数が台数だけに、カローラでは少し事情が違う。
求められる3つの要素には普通はプライオリティが付く。しかしカローラはその3つ全てがメインディッシュになっていなければならない。そんな無茶な要求を同時に求められ、それに真面目に対応するクルマはそう多くない。
だからカローラとは何か? と問われたら「スポーツ」「高級」「取り回し」の3つを同時にかなえるクルマだといえるだろう。それこそがカローラであり、同時にカローラの難しさでもある。
ここでTNGAがその本領を発揮する。例えばトレッドとホイールベースというクルマの基本を決めるディメンジョンすら、日本仕様だけコンパクトな数値が与えられる。TNGAでは、あらかじめ変動する部分を織り込んで設計を行い。同時に絶対に変えない部分を決める。それはつまり最初から仕様の詳細をバリエーションまで含めて折り込み、どのバリエーションでも最適になるように設計することだ。
ただ、ハードとしての変化対応はそれでまかなえても、ソフトとしてのキャラクターがそれで解決するかといわれると、そこはまた別問題だ。
例えば、かつてのカローラは「いつかはクラウン」というトヨタワールドの途中の1ステップだった。車格によって階層化され、割り振られた全体図の魅力でトヨタワールドの一断面としてカローラを見せることができた。しかしとうの昔に「いつかはクラウン」という時代は終わっている。
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