クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

カローラ・セダン/ワゴンが意味するもの池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/5 ページ)

» 2019年09月24日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

TNGAと過去への決別

 そして12代目の今回だ。ここで変わらなければカローラは終わっていたかもしれない。もはや大変革をやるしかない状況、折しもそこにTNGAの大改革がやってきた。

 この連載をお読みの読者なら先刻ご承知の通り、TNGAはトヨタの強靭化(きょうじんか)革命であり、賢くコストダウンを図りながら、性能向上と両立させるものだ。どちらかひとつでは許されない。

セダンタイプのカローラ

 すでに先行して発売されているハッチバックのカローラ・スポーツには何度か試乗しているが、先代とは隔絶したシャシー性能が与えられている。特に旋回性能は素晴らしく、カローラ・スポーツの最初の試乗会が行われた富士スピードウェイでは、そのハンドリングに驚いた覚えがある。だからといって完璧ではない。直進性にはまだ改善の余地があるし、プリウスやC-HRにも使われるこのシャシーはザラザラした路面では床板の共振ノイズが少々大きい。

 それでも、世界のCセグメントと戦えるポテンシャルを手に入れたことは明らかだ。ボディデザインもまたトヨタの新境地である。TNGA改革以来、トヨタはコンサバティブなデザインを捨て、攻めたデザインに一気にシフトした。慣れないトライをした結果、TNGA第一弾のプリウスは豊田章男社長自らが「カッコ悪い」と認める惨憺(さんたん)たる結果になったが、あそこからたった3年で、カローラ・スポーツのデザインまでたどり着いたトヨタの底力は見事だと思う。

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