“日本×台湾”の書店が面白い「誠品生活日本橋」 交流を生み出す仕掛けとは9月27日開業「COREDO室町テラス」(2/3 ページ)

» 2019年09月26日 11時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

台湾の人が選ぶ、日本の“代表的”な本

 独自企画の一つが、1990年から毎月実施している「誠品選書」。日本1号店の日本橋店でもこの書棚を設けた。ここには、内容や形式、社会的影響力などを考慮して誠品が選んだ書籍を置く。棚の前にはゆったりと座れるスペースも設けられている。

 誠品選書の棚では、日本初出店の記念として、誠品が開業した30年前から現在までの日本の“重要な出版物”を厳選した特別コーナーを設置。小説やノンフィクション、絵本、ビジネス書などさまざまなジャンルから選んでいる。また、毎月変わる選書の棚は、「日本」と「台湾」で分かれている。日本の棚では話題性や独創性の高い作品を月ごとに紹介。台湾の棚では、台湾の店で発表される最新の誠品選書を紹介する。

「誠品選書」の書棚。約30年の歴史がある企画だ

 誠品選書の手前では、企画展も開催されている。ここは「日本と台湾の交流」がテーマになっているようだ。まず、誠品グループで働く212人のスタッフが“最も代表的だと思う”日本の出版物163冊を推薦するコーナー。『源氏物語』『人間失格』『金閣寺』などの名作だけでなく、『雨ニモマケズ』の世界を表現した画集、漫画『AKIRA』など、選んだ人のこだわりを感じる本もあり、見ていて飽きない。1冊ずつ推薦コメントも付いており、台湾の人の視点から日本を見つめ直す機会にもなりそうだ。また、日本と台湾の“生活”をテーマに、写真家やイラストレーターなどが制作した作品の展示コーナーもある。

台湾のスタッフが日本の本を推薦
日本と台湾の生活にスポットを当てたコーナーには作品展示も

 イベントスペースとしても使われる「フォーラム」の一角には、誠品として初の取り組み「専科本棚」がある。世界やアジアで話題になっている12テーマを取り上げ、関連する本を紹介。3カ月ごとにテーマを変えるが、大きなニュースがあれば随時入れ替えることもあるという。最初のテーマは「米中貿易戦争」「台湾、同性婚合法化へ」「副業が今流行っている!『定時退社』経済」などが選ばれていた。その隣には「日本橋今昔」というコーナーも。日本橋の歴史や生活、江戸の文化などに関する本が並んでいる。

12テーマで本を置く「専科本棚」(右)と「日本橋今昔」コーナー

 インテリアにのれんを採用したり、文学コーナーでも台湾の絵本などを紹介したりと、企画以外も細部に見どころがありそうだ。担当者は「展示などを通して誠品の思いを伝えたい。本が好きな人、そして台湾に興味がある人にぜひ来てもらえたら」と話していた。

書店内では、のれんを使っている
台湾の本を紹介

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