再開発が加速する東京。目まぐるしく時代が移り変わっても、ずっと残ってきたものにはどんな背景があるだろうか。ときには姿を変え、ときには古いものを守りながら、新しい時代を迎えた街や建物のストーリーと、将来への戦略を探る。
ゴトゴトと車体を揺らしながら、東京の街をゆったりと走る路面電車。全国でも少なくなった路面電車の一つが、三ノ輪橋(東京都荒川区)〜早稲田(同新宿区)間の約12キロで運行される都電荒川線(東京さくらトラム)だ。
東京都が運行する路面電車「都電」はかつて、全長200キロ以上にも及ぶ路線網を築き、沿線に住む人々の“足”として隆盛を極めていた。しかし、自動車や地下鉄の普及に伴って、そのほとんどが廃止された。荒川線だけが現在も運行を続けている。
なぜ、荒川線だけが都電として残ってきたのか。そして、都電は現在、そして将来に向かって、どのような存在として走り続けていくのだろうか。
都電荒川線は東京都荒川区、北区、豊島区、新宿区にまたがる12.2キロの路線で、全30カ所の停留場を備える。この路面電車は現在、どのように利用されているのか。東京都交通局によると、2018年度の1日平均乗車人数は約4万7000人。前年と比べてほぼ横ばい。ここ10年ほどは大きく変わらないが、都電が荒川線だけになった1970年代前半と比べると半減している。
路面電車を運行する軌道事業の経常損益は、08年度から赤字基調。17年度は約5800万円の黒字に転換したが、18年度は約3億6500万円の赤字となった。
そんな都電も、かつては「都民の足」として機能し、都心に路線網を張り巡らせていた。
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